Mr.Wonder

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「あいつらめっちゃすげー格好してんのな」

「まぁにー」


今日は帝光祭だ。朝一発から私たちバスケ部はミュージカル 人魚姫を講堂で上演することになっている。どうしてこうなったかはTwitter見てね。

バンド発表の為に来てくれているみゃーじさんと幸男くんが私たちの格好を見て若干引いた。


「登場キャラを擬人化したのか…」

「征ちゃんが、『全身タイツなんて着れるか』って」

「何で全身タイツか擬人化の2択なんだ?」

「そこは突っ込んじゃいけないよ、ゆっきー」

「ゆっきー言うなシバくぞ」

「それより私とにじむーに一言ないのー?」

「無視すんな!!」

「えりなすっげー似合ってる。修造も中々だな。」

「みゃーじさんてんきゅー!でも2年連続コスプレしてるし衣装は赤司家が用意したんだからあたりまえよよよーん!」


私とにじむー以外は擬人化することになった。全身タイツを着て更に着ぐるみのようなものを持って歌ったり踊ったり演技するのは嫌だと征ちゃんが言った。だからといっておしゃんてぃー過ぎるよ、カジュアルなても格好いいそんな感じの格好だ。説明しにくいけど。

私とにじむーは普通に王子様の格好とお姫様の格好って感じだ。お姫様をイメージした黄緑色のドレスに髪をガッチガチに固めてよく見るあの髪型にした。にじむーはあの髪型があまりにもにあわなかったからにじむーの髪型のまま。

そして何より


「むっくん美人すぎてつらい嫁に来い。」

「似合うー?」


最初はずっと悪者のカッコのままでいようってなってたんだけど、綺麗なお姉さんになる時に早着替えがめんどくさいとなって、結局お姉さんの格好のまま、つまり美人な女の人になったままむっくんは3時間出ることになった。

本当に美人な美人な女装だ。森山さんがいたら多分ナンパしてるいや確実にナンパしてる。


「むっくん美人…はぁん…じゅるり」

「えりなまじで気持ち悪ぃからな?」

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」


ニッコリ笑ったにじむーに頭を鷲掴みされて悶える、これまじで痛いしこの人多分…あ、やっぱいうのやめとこ、死ぬかも。


「じゃあ、そろそろ行こっか!」


開演10分前になったので舞台袖に向かう。緊張はしていない。

そして

ビ───────!


『きっと、陸は素敵なところなのよ』


────始まった。


『…素敵ね…』


私のソロである


『こうしていたい、いつも。笑ってる顔、見ていたい。それには何をしたらいい?』


今の私の願い。


『その世界の一部になりたい…』


私の気持ち届いていますか?


終盤、私と修造のキスシーン


『えりな…』

「?!」


にじむーは不意にマイクを切った。何故…?


「えりな…俺も、ずっとオメーの笑顔を見ていたい」

「…しゅ、ぞ…」


私のマイクも切ってそう言うと、嬉しさが込み上げる。気付いてくれるなんで思ってなかった。

修造だけを、見ていたいの。ずっと、ずっと。


「…愛してる」


優しく笑うと口付けられて、本物の魔法にかかったかのようだった。


貴方の言動一つ一つが私の喜びであり、幸せなの。





────私を貴方たちの世界の一部にしてくれますか?





どうか、泡になって消えちゃう前に…





7色とマーメイド
(私に気付いてください)


どうか、叫びに気付いて


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