Mr.Wonder

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「ってなわけで、ショーゴくんを拉致監禁します」

「ってなわけでってどういう訳だ!!どういう訳でお前が犯罪に手を染める事になんだよ!!あ゙あ゙?!」

「もっとマシな説明しろよえりな!」

「まぁまぁ。頭の血管切れるよ、にじむー」

「…ほお…?その前にお前の頭かち割ってやるよ」

「あは、手離して、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」


超怒られた。

体育館にショーゴくんを連れていってにじむーの前に行ったら冒頭文ですからね、そりゃ怒られますよね。だからって鷲掴みはいらないと思うんだ。


「お父さんにドメスティックバイオレンスなんだと、言い換えれば保護する。」

「最初からそう言え馬鹿野郎。…DVって…まじか?」

「まじらしいよー」

「…えりなも危なくなんねぇか」

「ドメ爺(ドメスティックバイオレンスじじい)は私の事知らないし、うちのマンションセキュリティバッチリだから大丈夫だよ」

「ドメ爺…それで、灰崎を保護してどうするつもりだ?」

「征ちゃんたちにも手伝ってもらって違法性がないようにした方法でDVの証拠になるものを手に入れたら警察に提出するわ。征ちゃんがいたら警察も動くでしょ」

「…なるほど」


大切な人傷付けるなら相手がどんなに強くても勝つ。物理じゃなくても相手を負かせる方法なんてこの世には沢山あるんだから。


「…ショーゴくんをそんな奴が来る家に帰せないしね」

「えりな…」

「俺も後で行くから先に帰ってろ。」

「にじむー…」


真剣な顔で言われたら断れないじゃん。仕方が無い。


「行こ、ショーゴくん」

「おう…」


ショーゴくんは今日本当に萎れてる。守ってあげなきゃ。

ショーゴくんは私の、大切な人。


「さーご飯作ろうかな!」


家に帰れば夜ご飯を作る準備をする。お父さんたちはどう動くのか…というか、何でお母さんはそんなお父さんとまだ関わっているの?


「……えりな」

「ん?」

「ご飯、俺が作る」

「へ?」


間抜けな声が出てしまった。ショーゴくんが作る?まじで言ってるの?


「家では良く俺が作ってんだよ、作らせてくれ」

「まじか!!」

「うお?!なんだよ!」

「手料理…!」


ショーゴくんの手料理!!
食べたい!超食べたい!


「涼太が前に作ってくれて以来、手料理なんて食べてないから…嬉しい!」

「っ…そ、そうか?」


手料理かぁー手料理かぁ…!

座って待ってろって言われたし、ソファーに座ってテレビを観る。何か、こっちのテレビ番組にもなれて来たな。


「おら、出来たぞ!」

「オムライスー!!」


そうやって待ってるうちに ショーゴくん特製オムライスが出来上がり、テーブルの上に置かれた。

美味しそう…


「見てろよ」

「?」


ケチャップを片手に得意気に笑うと、何かを描き始めた。

んー?


「あ、アンパンマ○!」

「上手いだろ!」

「うん!」


案外器用なんだなー、ケチャップでここまでクオリティ高いなんて…。


「さ、食べるぞ」

「はーい、あ、ケチャップ貸して!」


ケチャップを受け取って、ショーゴくんの分のオムライスに書く。


「ふふん」

「なっ…こういうのは虹村サンだけにしとけよ!!」

「何でにじむー?私はみんな大好きだよ、勿論ショーゴくんも大好き」


だから大好きと書いて、ちょっと寂しかったらハートも描いておいた。

うん、じょーでき、写メってTwitterにupしよーっと。


「いっただきまーす」

「いただきます」


パクッと一口食べて、よく味わう。


「うーん!美味しい!」

「よかった」

「ショーゴくんの優しさが入ったオムライスだね」

「優しさ…?」

「ショーゴくん優しいもん」

「俺が、優しいとか頭可笑しいんじゃねぇの」

「どうして?ショーゴくんが喧嘩する時は何かを守りたい時でしょ、私、知ってる」

「……」

「私だったり、バスケ部だったりね。」

「…知ってたのかよ」

「まぁねぇ」


ショーゴくんはこんなんだけど、理由なしに喧嘩するほど馬鹿じゃない。

守りたいって思った時喧嘩をしてる、お父さんに殴られてやり返さないのもお兄さんやお母さんを守りたいんだと思う。

不器用な優しさって奴かな。


「ん、ご馳走様!」

「お粗末様、そこ置いといていいぞ」

「ありがと、じゃあお風呂沸かしてくるね」

「おう」


全部食べ終わると、そこに食器を置いたままお風呂場に向かう。今日は薔薇風呂にでもしようかな。ショーゴくんからバラの匂いするとか面白いし。


「…えりな、下で雑誌買ってくる」

「お?おっけーい」


薔薇を散らしながらお風呂の準備をしていたらショーゴくんが外に出て行った。何の雑誌買いに行ったんだろ、いかがわしいのだったら捨てたろ。


「あれ…」


リビングに行くとショーゴくんの鞄が無造作に置かれてあって、財布もあった。


「財布も持たずに…行ったの…?」


携帯もある、

嫌な予感がした。


────ブーブーーブー───


ショーゴくんの携帯が鳴る、メールが来たようだ、覗き込むと『親父』と書かれてあった。


「…え」


ダメだと思っても気になって開けると、






『この女を殺されたくなかったら、1人で降りてこい』





「……私の、写真……?!」





灰色の不器用な優しさ
((ショーゴくんが危ない…!!))
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