Mr.Wonder

□21
1ページ/3ページ







「征ちゃん知ってる?こういうの、無双って言うんだよ」

「?」


征ちゃんは騎馬戦に参戦し、1人で敵全員の帽子を取ってしまった。(ゴムをしないで頭に乗ってあるだけの紅白の帽子を多くとった方が勝ち)

盛り上がりにかけるだろうが。


「次は俺とー、主将の番だね」


次は借り物競争だ。
むっくんとにじむーが参戦する。

難しいお題が多いってにじむーが教えてくれたけれど、難しいお題ってなに?例えばなんなの。命とか?


「えりちん〜1位取ったら俺にちゅーね、ほっぺに」

「じゃあ俺は口に」

「お前らそれ好きだね。にじむー却下、むっくんおっけ」

「やったー」

「おい、おかしいだろ」

「可笑しくないからさっさと行け」


乙女のちゅーを何回も景品にすんな馬鹿。ていうかにじむーはちゅーしたろ、むっくんとか涼太がうるさそうだから言わないけどさ!


「えりちん〜」


1年の借り物競争が始まって、走っているむっくんに呼び出される。

お題なんだろう。女の子しか持ってない何かかな?


「何かいな。シュシュか何かですか」

「違うよ〜えりちん借りるね〜」

「は…?」


むっくんのとこまで行けばひょいと持ち上げられてそのまま120mあり得ないスピードで走っていく。

どういう内容だったのかわからないけれど、なんで走らせてくれないのか。


『紫原敦くん1位です!お題をカメラに向かって見せてください!』

「はーい」


え、何これ?公開処刑ってやつなの?何それ?意味わかんないんですけど?

むっくんが手に持っていた白い紙をカメラに向け、校舎に設置されている大型モニターに映し出される。


「…えええ…」

『自分が天使だと思う女の子ー!』

「えりちんはね〜ふわふわしてるしいい匂いするし〜お菓子くれるし、可愛いし〜ちょ〜天使」

「トト◯黙ろう」

「◯トロじゃねーし」

『合格です!』

「こんなんでいいのかよ」


ていうかむっくんファンに殺されるいやだいやだやめて。絞首刑にあったキブン!!!

借り物競走なのに、物じゃないじゃん。そうか、私は物だったのか?


「あ、そうそう〜これ見てえりちんに手ェ出したらヒネリ潰すから。」

『……み、みなさん夢咲えりなちゃんに手はくれぐれも出さないように!!死にます!!!!』

「何言ってんの?!?!」

「えー?」


むっくん怖いよ、まじトーンのむっくん何よりも怖いよ、にじむーの暴力に匹敵するくらい怖いよ、辛いよ。

私の敵増やすのやめてもらっていいですか、私平穏に暮らしたい。


『2年男子借り物競争を始めます!』

「もういいや…にじむー応援しよ」

「んー」


自分たちに与えられた席に戻って、にじむーの活躍を見ようとグラウンドを注目する。

あ、お題取った、あれ、固まってる。ん???こっち見たぞ???あれ????こっちに来るぞ???

なにかいな、命かな?こんどこそ命かな?こいよ、決着をつける時が来たんだろう?…嫌な予感しかしないからファイティングポーズをする。


「なんでお前ファイティングポーズしてんの?」

「嫌な予感してるから」

「えりな、来い」

「やっぱり???」


断れないから120m走りました。

今度は走れた、よかった。物じゃない、私は物じゃなかった。持って運ばれなかった。


「はぁ、はぁ…げほっ…にじ、むー速…げほっ…」

「大丈夫か…?」

『虹村修造くん1位です!おっと、また夢咲えりなちゃんだー!お題をカメラに向かって見せてください!』

「…可愛くて大好きな後輩」

「くっそう!!!惚れる!!!にじむー好き!!!!!」

『合格!!!!!萌えをありがとう!!』

「ほんとそれな!!!!」


萌えをありがとう、はわかるけど鼻押さえて顔を赤くしている放送委員のお姉さんきっとやばい人だ、離れよう。

可愛くて大好きな後輩とか言われたことないんだけど、めちゃくちゃきゅんとした。いっぱいちゅき。


「きゃぁああああああ!!!」

「?!」

『次の競技は1年ハードル100m走です!トップバッターになんと黄瀬涼太くんです!意気込みをどうぞ』

『絶対1位取ってみせるッス、応援よろしく!』

「きゃぁああああああ!!!」

「黄瀬くぅううううん!!!!」

「アイドルじゃん」

「黄瀬が全部かっさらってったな」


にじむーが走ったことによってかなり盛り上がっていたはずなのに、涼太が出て来たことによってそれ以上の歓声になった。

今回は在校生とその親御さんしか校内には入れないからファンがいるってわけではないんだけど、すごい人気だなあ。うるさいや。

勿論涼太はダントツ1位だったし、綺麗にハードル飛んでて見惚れたよね、天才ムカつく。


『続いて、全学年紅白しっぽとり!!』

「体育祭の競技じゃないべ」


これにはテツくんが参戦しているし、結果が見えている、こんなのテツくんの為にあるとしか思えない。テツくんの1人勝ちである。


『続いて、1年の栄光までは遠かった…です!』

「これなんなの、ネーミングセンスおかしいでしょ、なんで普通に障害物競走じゃないの」

「知らねぇよ」


隣にいるにじむーに伝統の名前なんだと言われたがこれ考えた人可笑しいと思う、絶対病んでたか厨二拗らせてたと思う。

これにはショーゴくんと大輝が出ている。厨二病競技には厨二病生徒が参加する傾向でもあるんだろうか。


『まずは走って宙に浮くパンを口でキャッチ、そのまま12段の跳び箱を飛び越え、10mうんてい、机にあるボールを取って、玉入れをしたら、ラスト50mは全力疾走してもらいます』

「私の知ってる障害物競走じゃない」

「伝統だっつってんだろ」


なんで跳び箱やらうんていやらすんの、可笑しくね。私こんな障害物競走知らないし12段の跳び箱とか出来る人限られて来るでしょ。


「大輝ー!ショーゴくん!怪我しないでねー!」

「灰崎、テメーには勝つ!」

「ああ?相手してやるよ!」

「聞けよ」

「オメーら!!喧嘩してんじゃねぇよ!!」

「にじむーは蹴りに行かなくていいから!!!!」


あーあ、蹴られちゃった。


『位置についてーよーい…』


パァン!


あ、音楽が天国と地獄だ。
大輝とショーゴくんの一騎打ちだー。パンを上手に口でキャッチしていた。おい、むっくんパン盗みに行くなよ、やめろ、準備運動するのをやめろ。跳び箱軽々と飛び越えて、だからむっくんパン取りに行こうとしないで、にじむー押さえてて。うんていして、軽々と玉入れて、らすと50m


「頑張れー!!!って…あれ、むっくんは?」

「崎ちんのパンもーらい!」

「アツシてめぇえええええ!!!!!!」

『青峰くんゴール!これから2時間お昼休憩です!』


むっくん、自由過ぎる。

パン盗みにいったむっくんが邪魔したせいでショーゴくんは2位になってしまった。めっちゃキレてる、可哀想に。






次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ