Mr.Wonder

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「誕生日密集しすぎだろ、全然友達いないのにさ!!」


おこだわ、おこ。
1ヶ月に何回誕生日プレゼント悩むんだよ私は。

キセキの世代 エース
青峰大輝

はっぴーばーすでーらしい。
誕生日プレゼントは悩んで悩んで、誕生日石が1つだけ入っているブレスレットにした。喜ぶのかはともかく、気持ちが大事だと思う。家はさつきちゃんに聞いて知っているから、お邪魔しに来た。


「あら、どちら様?」

「大輝くんのお母様ですか?」

「ええ、そうよ」


インターホンを押そうと思ったら後ろから話しかけられ、振り向いたら買い物帰りっぽいお母様に遭遇。自分がマネージャーだと話せば「ああ、例の」と言われたので、そろそろくしゃみをした時は誰かの家で噂されてると思った方が良さそうだ。

中学生は本当にベラベラと喋るらしい。くっしゅん。


「どうぞ」

「お邪魔します」

「大輝ー!えりなちゃんがいらしてるわよー!」


部屋は2階なのか階段の下から大輝を呼んだ。

大輝のお母様は大輝そのものだ、ショートカットで結構ボーイッシュ系、なのに話し方はとても丁寧だ。


「はぁ?!えりなだぁ?!」


…なんだ、その驚き方は。


ドタドタドタドタドタ!!


なんでそんな慌てて降りて来るんだお前は。最早怖いわ。

2階にあるらしい大輝の部屋から慌ただしく降りてくる音が聞こえれてくる。まぁ大輝がこうやって来るのも想定内と言えば想定内なのだが。予想外なことが起きてくれてもいいんじゃないのかとは思う。


「えりな!勉強教えてくれ!!」

「だよねえ」


予想はしていた。

今日は8月31日。明日から2学期が始まるのだ。ここまで言えばわかるだろうか。学期明けの実力テスト(成績には反映されない)と夏休みの宿題の提出がある。

あの大輝が夏休みの宿題を終わらせているはずがなかった。


「あーもう終わらねぇ!!」

「なんでもっと計画的にやらないんだよ…」

「仕方ねぇだろ?全中あったしよ…」

「それでもみんな終わらせてるから……」

「ぐ…あ、ここは?」

「ここは…」


写させてとは言わないあたりまだましだろう。ていうか涼太は大丈夫かな。LINEしてみよう。


「…お前もか…」

「あ?」

「ううん、なんでもない」


予想通り涼太も終わっていないらしい、私を頼って家に行ったらいないから待っているとのこと、もうそろそろ大輝は終わりそうだし…。一学期ちゃんと勉強はしていたようで、全然わからないってことはなかった。それだけでもとっても助かる。中間の時のようにあれもこれもわからないと言われたら流石にお手上げだった。

…ていうか涼太はスタンプいっぱい送って来ないで。わかってるよ、すぐ帰るから大人しくしていてくれ。

涼太の場合は仕事も忙しそうだしある程度仕方のないことなのかもしれない。だからと言って甘やかすつもりはないのだが。あいつこそ苦労しそうだ…


「終わった…さんきゅー、えりな」

「赤司くんとにじむーには内緒にしておくよ」

「助かるわー。んで、今日はどうしたんだよ?」

「ああ、そうそう。はい、お誕生日おめでとう」

「え?誕生日?」

「え?」

「いっけね、すっかり忘れてたわ…ありがとな。これだけの為に態々来てくれたのか?」

「宿題のことも懸念してましたー」

「さっすが。お、これイケてんじゃん、大切にするわ!」


部活は忙しいだろうけど、自分の誕生日を忘れるなんて…。私も部活には参加しているけれど、自分の誕生日を忘れてしまったり宿題を終わらせることができない位忙しいとは思ったことがない。

他の子も出来てるし、大輝がサボリ魔か……部活終わった後もバスケしてそうだしなあ。帰ったら寝てそう。

何はともあれ喜んでくれたらしいのでこれでいいだろう。宿題も見てあげたしもうプレゼントとしてはいっぱいあげた気分だ。夏休みってのは面倒臭いな。


「じゃあそろそろ帰るね」

「おう、本当にありがとな」

「ばいばい、また明日」

「またな」


送ってくれると言っていたが涼太と鉢合わせすると面倒臭そうだったので断り、急いで家に帰ると捨てられた子犬のようになってる涼太を拾った。

忙しいのはわかるけど、泣きそうになるくらいならできるとこまでやればいいのに。この感じじゃ全く手をつけてなさそうだ。


「えりなっちー!」


これは夜中までやらなきゃ終わりそうにもない。

私的には全然構いやしないのだが、涼太が途中で寝そうだから何か対策をしなくては。寝そうになったら電流でも流そうか、それとも水でもぶっかけるか。





青色の誕生日
(ケーキは明日あげようっと)
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