Type A

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「山中みかな、真山かすみ、三条ゆかの担当の先生…3冊の日記が手に入り、もう1つの異世界が解除され、えりなたちと合流出来たわけだけど。……さぁ、えりな、お前に問題だ。次は…何をする時間だと思う?」

「え、っと…ほ、他のメンバーを探す…とか…?もしかしたらまだ誰かいるかもなーなんつって」

「ハズレだよえりなちゃん」

「えりちんって馬鹿なの?馬鹿じゃなければこんなことにならなかったか〜〜〜」

「他の人たちも探すッスよ、けどその前にやる事あるッスよね?」

「た、高尾くんっ…た、助けて…!」

「んー?悪ぃけど、助けてやれねぇなー?」

「ひぃいい」

「先に無茶したアンタに説教よ!!そこに正座しなさい!!」

「は、はい!!」


突然赤司くんによるクイズ大会が始まったかと思えば、赤司くん、氷室さん、むっくん、涼太くん、高尾くん、レオ姉に迫られた。でかい、こいつらでかいよ…怖いよ、正座したらみんなとってもでかくて私蟻みたいでとても怖いです。

虹村さんがこの異世界に来たのにはタイムラグがあった。だから今探せば他のメンバーが来ている可能性も否定は出来ない。だけどその前に説教タイムが始まるらしい。いや、なんで?


「アンタ、女の子って言う自覚あるの?!こんな傷だらけになって!傷跡が残ったらどうするつもりなの!」

「ご、ごめんなさい」

「なんで1人でなんでもかんでもやろうとするのか意味わかんないんだけど〜〜俺にもわかるように説明してくんない?えりちん」

「やらなと、いけない、って思ったから…?」

「はぁ?」

「ひっ…」

「女の子が1人でやらなきゃいけない時は子供を産むときだけだよ、えりなちゃん」

「氷室さんが言うとR18に聞こえるのでやめてくだs───」

「あ?」

「すみません」

「自分の事もっと大切にして欲しいンスけど。」

「だ、だって私よりみんなの身体の方がたいせt────」

「それ以上言ったら鋏で口切り落とすッスよ」

「………」

「それは名案だね、涼太」

「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ?えりな」

「はいすみません」

「灰崎ー、紐持って来い、コイツ縛り上げる」

「ハーイ」

「やめてください、もう勝手なことしません」


みんな怖いです、今までで一番恐怖感じちゃってるんですけど、私。もう変な行動するのやめます、まじでやりそうこの人たち。すっごく嫌な笑みでこっち見てくるもん。やりかねない、特に…特にとかないですね、全員です。

それが最善だと思ったの!結局いまくいったんだからいいじゃん!今怒られるととっても心がしんどい。


「これからは1人で無茶はしないこと。ここにはこれだけ鍛えられている男がいるんだ、少しは頼ってくれ。えりなだけが背負い込む必要なんてどこにもない。」

「わかった…」

「次…無茶したら……」


赤司くんなんか優しくなった?優しくなったというより、私に対して警戒をしなくなっているってところか。最初は私を疑ってます!って感じだったもんね。あんなの疑われて当然だと思うけど。私なら疑うね。

そんなことを思いながら少し聞き流していたら、赤司くんはどこからか赤い鋏を取り出し、私の頬に当てる。いやいや、私にオヤコロは通じないんですってば。


「……坊主にするよ」

「肝に銘じときますね!」


オヤコロじゃない…!坊主にされる!
恋愛したアイドルみたいになる!
坊主とか嫌です、もう絶対に無茶しない、絶対にしない!オヤコロはまぁなんとかなるかって思ってたけど坊主だけは嫌だ。ウィッグ生活はとてもじゃないけど耐えられる気がしない。


「赤司、俺とえりなの2人きりになってもいいか?」

「……ああ、構わないよ。僕たちは廊下にいるから理科室で話してくると良い」

「サーンキュ。行こうぜ。」

「う、うん…」


高尾くんに手を引かれて理科室に入ると、誰にも邪魔されないようにか内側から鍵をかける。高尾くんは理科室にある茶色い椅子に座った。なんとなくそわそわしてしまって落ち着かない。今思えば2人きりになるのはこれが初めてだった。


「…えりなも座れって」

「…うん」


そう促されて高尾くんの前に座ると、ぎゅっと手を握って来た。懐かしい温かさだな…ホント。


「どれくらい、ぶりだろうな」

「さぁ…時計ないからね」

「…本当に、生きてて良かった…」

「……心配かけてごめんね」

「いいって、流石にあの大男に殴られてた時は血の気が引いたけど…」

「あれ、私どうなってたの?」

「ミンチになるまで殴られてたぜ」

「本当に?そりゃスプラッタでぐっちゃぐちゃだわ…」

「ぶは、何それ!」

「みかながそう言ってたんだ」

「まじで?!ウケる!変な表現!みかならしい…な…」


悲しそうに顔を歪めるから、言葉なんて出てこなくなっちゃって…どうしたらいいかなんてわかんなかったから取りあえずぎゅっと手を握り返した。

高尾くんは困ったように笑っている。


「あのさ」

「ん?」

「気持ちを伝えるって、大事なんだな…って…ここに来て初めて知った」

「…うん」

「だから、言うな」

「?」

「……俺、えりなが好きだ」

「……高尾くん…」

「守ってやれなくて、ごめん。これからは絶対守るし…そばにいるから、だから…俺と付き合ってほしい」

「うん、私もね…高尾くんのことが好きだよ…」

「…じゃあ」

「よろしくお願いします」

「よっしゃ!」

「わっ…」


高尾くんは立ち上がれば勢いに任せて抱きしめてくる。高尾くんの匂いだなぁなんて思いながら抱きしめ返した。

なんで、頷いてしまったんだろう。

そう思うけど、今は考えないことにした。逃げるわけじゃない。酷いとは思うけど、好きって気持ちを私も伝えたかった。


「…あの、さ…」

「ん?」

「キス、してもいい?」

「……うん」


ここにいる間だけの彼氏になるかもしれない。ここを脱出すれば永遠に会えないし、私は紙の上で頑張る高尾くんをただ見ることしか出来なくなる。それでも、高尾くんの温もりを忘れたくはないから。

……優しい、口づけが欲しい。


「……少し、血の味がするな」

「私、唇切れてるもんね」

「…舐めてやる」

「ちょ…っ…」


ペロっと切れているところを舐め、そのままもう一度キスをした。幸せだな、さっきまで私を襲っていた恐怖なんて思い出せないくらいに今の私は安心感を覚えていて、ここがどこかなんて忘れてしまいそうだ。


「約束、しねぇ?」

「約束…?」

「そう」

「どんな?」

「ここを脱出したら、えりなに会いに行く、探しに行くから」

「………」

「だから、クラス教えて?」

「……それ、探すって言えるの?」

「え?教えてくれない系?!ひっでぇ!」

「探すって言うなら、探してよ。」

「……仰せのままに、お姫様」




きっと、会えるから。






約束
(ぜってー見付ける)
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