番外編

□虹色の恋愛対象
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「にじむーってさ」

「ん?」

「恋愛対象、男なの?」

「…………は?」


俺の災難はえりなのこの一言から始まった。


「は?虹村サンってホモなのかよ」

「えりちんにも俺らにも近付かないで」

「そういう目で見ていたなんてショックなのだよ」

「えー虹村先輩まじッスか?」

「虹村サンがホモとかウケるんだけど」

「こら、みんな。恋愛は自由だあれこれ言うな」

「えりなとりあえずぶっ殺してやるからこっち来い。そんで赤司、テメー受け入れてんじゃねぇよ!!」

「だって!!だってええええええええええ!!!!んぎゃ!!」


今にも泣き出しそうなえりなが弁解しようとしてたが問答無用で殴った。


「言い訳くらいなら聞いてやろうか……?」

「だって!!!虹色って!!!同性愛者の象徴なんでしょ!!!!」

「知るか!!!人の苗字に文句つけてんじゃねぇよ!!!」

「誰が虹村って言ったの!!そのリスバンの事言ってるんです!!」

「こ、これは…」


頬を膨らませて今にも泣き出しそうなえりなを見てうっとなる。

後輩どももニヤニヤしやがって…


「えりな、こっち来い」


えりなを連れて体育館倉庫の中に入ってえりなと話をすることにした。


「このリスバンは妹たちに貰っただけだ。」

「あっそー」

「俺は同性愛者じゃねーよ」

「……うー」

「信じてないのかよ」


両手でえりなの頬を包んで上を向かせる。


「つーか、それ誰に聞いたんだよ」

「クラスの子(仮)」

「(仮)って…そんなやつの言うこと信じて俺のこと信じてくれねーの?」

「違う…」

「じゃあなんだよ」

「………うー…」

「なんだよ」


むっすーっとしたままのえりなは俺のジャージをぎゅっと可愛らしく握る。


「修造が同性愛者じゃないことくらい知ってるもん」

「あ?」


じゃあ何であんなこと…


「最近構ってくれないから……」

「は?」

「全中とかあって…全然キス出来てないから…2人きりになりたくて…」


え、何それ


「……はぁ…」

「修造、怒った?」

「怒ってねーよ」


寧ろ、可愛すぎなんだよ。

俺だってキスしたいに決まってんだろうが。


「そう言うことなら、止まんねぇけど、いいよな?」

「…うん」


強く抱き締めていきなり深く口付けるとえりなはさっきよりもっともっと俺に引っ付いてキスを受け入れた。

たったそれだけなのに、愛しいが溢れて、欲望をひたすらえりなにぶつける。

好き、愛してる。

そんな想いが、言わなくても伝わればいいのに。


「しゅ、ぞ…っ…ふ…」

「ん…?」

「私も…だい、すき…」


口には出してねぇはずだ。

なのに、今…私もって言ったか…?


「…しゅ、ぞ…のことなら…なんでもわかるよ…」


ああ、もう…

えりなの唇から離れて軽くリップ音をたてる。


「…愛してる、えりな」


言わなきゃいけねぇ気がした。

口で言わなくてもえりなはわかってくれたけど、それに甘えたくはなかった。

好き、愛してる

だから、直接伝える。


「修造、もう一回」

「価値なくなんだろうが、また今度な」

「えー…じゃあ、もう一度キスをしよう?」

「それは一度と言わず何度でも」


唇から伝わるのはすっげーいいことだと思う。

けど、やっぱ俺は直接言いたい、行動で示したい。

心だけで叫んだら、きっとお前は俺の側から離れて行ってしまいそうで…怖い。










「ずっと……」








今の俺は、永遠すらも信じられる






虹色の恋愛対象
(離れたくない)

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