LIFE GAME
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「敦くん…!!」
船瀬がばたりと後ろに倒れて、ぐちゅぐちゅと嫌な音を立てながら消えていった後、電気の壁のようなものが解除された。えりちんは一目散に俺の所に駆け寄ってくれた。そんなえりちんを強く抱きしめる。
その身体は少しだけ震えていた。
「怪我してない、よね…っ…よかった…ほんとうに…よかった…」
「心配かけてごめんね?」
「ばか…っ!銃下ろしたときはもうほんとに!」
「ごめんって」
えりちんを抱き上げて1度軽く口付けてあげると、えりちんは少しだけ微笑んでくれた。いっぱい心配かけちゃったみたいだし、後でいっぱい構ってあげないとなー。
「船瀬のやつ…救えたし、よかったって事で、ね?」
「……だね。」
眉を下げながらも笑ってくれる。えりちんだって「同情なんて意味ない」とかいろいろ言ってたけど、辛くないはずがないよね。えりちんにとっても船瀬はクラスメイトだし、特に仲が良かったから。それに今回は一緒に遊んでたところを拉致されて、俺らが来るまでの間ずっと一緒に戦って来たんだ。
「えりちん、平気?」
「…平気って言ったら嘘になるよ。でも、あまりにも面影がなさすぎて実感がわかないの。クローンの丈くんを殺したのだって、私じゃないしね。」
クローンの船瀬を殺したのはえりちんのクローンであって、今目の前にいるえりちんじゃない。確かにあの姿はあまりにも面影がなかった。左にあった顔はかすかに面影があったけれど、声も見た目も全く違ったから実感がわきにくいのかもしれない。
「私が捕まった時、どこかに閉じ込められていたのはわかったの。でもそこから助け出してくれた人がいた。声も聞いたから間違いなく、丈くんだよ。あの場所にずっといたら何をされていたか…。」
「バカだよ、アイツ」
「敦くん」
「アイツのこと嫌いだったけど、友達だったよ。間違いなく」
「うん」
「伝わってればいいんだけど」
「伝わってるよ」
俺はあいつのこと大嫌いだったけど、友達じゃないわけじゃなかったよ。アイツは俺のこと友達とか思ってねーだろーけど。
「室ちんもありがと。弱点教えてくれてなかったら危なかったかも」
「ああ」
船瀬が消えた跡を見つめていればキラキラと何かが光っていて、えりちんは俺から離れるとそのキラキラしたのを手に取った。
「ライトニングホーク…だな」
「ライトニングホークって何〜〜〜」
「…マグナムの事だよ」
赤ちんが落ちていた銃がなにかを教えてくれる。マグナムって威力が最強の銃だよね…?それがあるって事は次はそれを使わないと勝てないって、事?
「クリア報酬の部屋に行こうか」
「…わかった」
赤ちんを先頭に8階のクリア報酬の部屋の前まで行き、赤ちんが鍵を開けて中に入った。
そこにはマグナムとマグナムの弾が沢山置いてあり、みんながそれを下に持っていく為に持てるだけ持つ。
「えりなは、使えないね」
「何で〜?」
「……私は、鍛えてないから」
「どういうこと〜?」
「マグナムは威力が強すぎてえりなじゃ扱えない。もし使えば確実に脱臼もしくは骨折する。」
脱臼、骨折…
そんなに威力あるなんて思ってなかった。ショットガンでさええりちんは腕を痛めてた…マグナムだと腕を折るかもしれないだなんて、それは使わせるわけにはいかないね。威力が上がるにつれ体への負担は大きくなるってことか。
「…じゃあ俺がつーかお」
「敦くん…」
「次はマグナム使える奴だけで行けばいーんでしょ」
「……うん」
シュンっとしちゃったえりちんを抱き上げて今度は俺がシュンっとする番。約束忘れてない?
「…俺にちゅーいっぱいしてくれるんじゃなかったの?」
「へ…?」
「してくんねーとまじねーわぁ」
「え、あの、ちが、えっ…」
俺が怒ったように言えばえりちんは絶対に涙目になって焦る。それが可愛くて可愛くて仕方なくて…もーちょっといじめようかな。
「…俺もー怒った。」
「えっ…あつ、しくん…ごめんなさい。今すぐするとは思ってなくて…みんながいるところでするのは恥ずかしいっていうか…」
「ふーん?一緒にお風呂はいろって誘うような子がキスを恥ずかしがるの?ちょーっと信じられないかなあ」
「だ、だって…顔、近いし…」
みんなの前で着替えたり、俺と一緒にお風呂はいるのは恥ずかしくないのにキスは恥ずかしいなんてちょっとおかしい。また1つかわいいところを知ったみたい。
「赤ちーん、お風呂入るねぇ。誰も近づけさせないでよ〜〜?」
「…ああ、わかった」
「あ、あああ敦くん?!」
えりちんのことを米俵のように担ぐと3階に戻ってお風呂場に直行する。こんな俺が怖いのかえりちんは少しビクビクしているように思えた。
「はい、えりちんばんざーい」
「自分で脱げる!」
「ダメダメー」
途中福井ちんにバスタオルとか着替えを受け取って、脱衣所でえりちんの洋服を脱がそうとするとえりちんは珍しく顔を赤くして恥ずかしがった。自分で脱ぐのはいいけど、誰かに脱がされるのは恥ずかしいみたい。また知らなかったことを知っちゃった。
だから無理矢理剥ぎ取ってやった。
「??!!」
「ほら、行くよ〜」
「おろしてよぉおお!これ怖いの!!」
「俺との約束破る子の話聞くと思う〜〜?」
「う…それは帰ってからやろうと思ってたの…!」
「どーだか」
そんなの知ってる。でもいじめるとほんとうに可愛いからついつい虐めたくなるんだよねー。
湯船に浸かって俺の膝の上に向き合うように乗せるとえりちんは俺に抱きついてきた。胸当たってて幸せなんだけど。
「どーしたの」
「怒ってる?」
「うん、怒ってる」
「…ごめんね…。何したら許してくれる?」
「キス。深い方の」
そう言って舌を出してペロっと頬を舐めると少ししょっぱくて、えりちんを見ると涙を流していた。
え、なんで。
「それ、したらっ…許してくれる…?」
「あー、ごめん…本当は怒ってない。えりちんが可愛くって苛めすぎちゃった。ごめんね」
俺が本当に怒ってるって思ったんだ。ちょっとからかってるつもりだったから、反省。落ち着かせるように抱きしめて頭を撫でると、えりちんは安心したように俺にすり寄ってきた。
「敦くんは…私にキスされると嬉しい?」
「そりゃあね〜〜好きな子からキスなんて男なら誰だって嬉しいよ」
「……なら、頑張る」
頑張ってキスしようとしてくれるなんて思わなくって思わずびっくりしちゃう。
「無理しなくていい」って伝えようと思ったけど、もう遅くって俺の唇にぴったりとえりちんの唇が重なる。本当に緊張してるみたいでかすかに震えてた。それが可愛くて可愛くて仕方ない。ここまでしてくれたなら本当はえりちんからしてもらおうと思ってたけど、我慢出来なくなって俺から舌を絡ませた。
「んっ…ふ、ぁ…んん…」
「ほん、と…可愛い…」
もっともっともっと、
えりちんを強く抱きしめて奥にえりちん口の中が俺いっぱいになればいい。
そう思って激しく絡ませて行く。えりちんは苦しいのか気持ちいいのかわからないけど、涙を流している。それが余計に唆られた。
俺らが動いて湯船のお湯が外に溢れる音と、えりちんと俺の舌が絡み合うヤラシイ音、そしてえりちんの可愛い喘ぎ声だけがお風呂の中に響き渡る。
すべての音が俺の理性を溶かして行った。
「ん…ぁ…は……」
「えりちん、大好き…っ…」
もっと、もっと、えりちんが欲しい。もっと大切にしたいって思ってたけど、我慢なんてもう出来ない。
えりちんに触れていいのは俺だけだし、えりちんは俺のものだから。さっさと自分のものにしてしまいたかった。なんでこんなに昂ぶってるんだろう。
「っ…は、ぁ…あ、つし…くん」
「ん…?」
「ごめんね……」
「何が?」
さっきのことなら全然怒ってないのに、また謝ってくるえりちん。なんのことかと思って一旦唇を離した。
「丈くんのこと……敦くんにだけ背負わせちゃった」
「ちょっと待って、ここで俺以外の男の名前呼ぶのやめて」
「……それでも、言いたいの」
「えりちん?」
「敦くんだけ背負う必要はないんだよ。私も一緒に背負うから、我慢なんかしないで」
えりちんだって、ここで友達を殺してるはずなのに俺のことばっかり心配してる。俺よりえりちんの方がずっとずっと辛い思いしてきたはずなのにね。俺がえりちんと一緒にお風呂はいっただけで我慢できてないことを、俺が船瀬を殺したからって思ってるみたい。
きっとそれもあるんだと思う。
「じゃあさ、これからはお互いなんでも話すってのはどう〜〜?もう隠し事とかなしってこと」
「隠し事、かあ」
「俺たちさあ、ずっと一緒にいるけど本当の気持ちとかあんま言い合ってこなかったじゃん。…えりちんに嫌われるのだけは嫌だったし」
「嫌うなんて絶対ないよ!」
「うん、俺も同じだよ。だから、なんでも言い合おう」
何も伝えないまま離れ離れになることだってある。俺はそんなの嫌だ。もうえりちんとそういう関係にだけはなりたくない。えりちんを傷つけるような嘘だって、つきたくないよ。
「俺本当に無理してないよ。信じてくれる〜〜?」
「…うん、敦くんがそう言うなら信じるよ」
ぎゅっと抱きついて来たえりちんを抱きしめる。本当のこと言い合えるならもう、我慢する必要なんてないんだなって思うと、お風呂が長引く予感がした。
「俺本当は中学の時から、えりちんとキスしたり、えっちなことしたりしたいなーって思ってた」
「え?!」
「そーいう知識ないと思った?」
えっちなことしたいって言えばえりちんはびっくりしたのか少しだけ俺から離れる。だけどもう我慢出来ないし、ぐっと腰を押さえて引き寄せた。
「あ、あの…そんな、ことは思ってないけど……ま、まだ早いっていうか…ですね?」
「早い?なんで?えりちんずっと俺のこと誘って来てたじゃん、今だって裸だし」
「それは……一緒にお風呂に入りたかったからで…そんな、えっちなことしたいとかじゃ…」
「こっち見て」
「っ」
恥ずかしいのか目線をそらしてくるえりちんの顔を掴んで無理矢理目線を合わせると、そのままちゅっとリップ音をたててキスをした。
「俺ずっと我慢してたんだよ?えりちんかわいーからずっと触りたかった、いっぱいキスしたかった。今思えば、初キスがこんな病院なんて最悪……」
「………わ、私も…えっちなことは、考えたこともなかったけど…もっと、抱きしめあったり、キスしたりしたかった」
「またそーゆーこという。本当に我慢しなくていいの?」
えりちんが怖いって言うなら今日だって我慢するよ。いっぱいキスはするけど、嫌がることはしたくない。
だけど、えりちんは返事をするかのようにまた俺に抱きついてくる。
「いいよ、敦くんにもう…我慢して欲しくない。ごめんね、我慢させて」
「俺のモノになってくれる?」
「うん、敦くんだけの私になりたい。ずっと、ずっと…一緒にいてね」
もちろんだよ。えりちんが他の男のところいっちゃわないように、見せつけられるように抱きたい。
俺結構独占欲強いから、許してね?
愛の温もり