中編

□ふわり
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京の治安を護る新選組。

その新選組を取り仕切っている、鬼の異名を勝ち取っている新選組副長が・・・


『こんな所で寝ていて良いのだろうか。』

しがない神社の桜の木の下で、である。






1年目、春












『もしもーし。おにいさーん?』


駄目だわこれ、熟睡中だわ。
すーすー寝息聞こえるもん。

何を思ったかこのお方、新選組の鬼副長さんは2刻程前にここへ来て、暫く桜を見つめて、根元に座り込んで、寝た。


いや、大丈夫なのか?

新選組恨んでる人とかさ、いるんじゃないの?

こんな可愛いとこ見られたらおしまいだよ?
寝てる間にバッサリだよ?永遠の眠りについちゃうよ?


こんなにも気持ち良さそうに寝られたら起こそうにも起こせないわ、お姉さん困っちゃう。





桜ひらひら


サァッと風が吹いて、桜の花びらが舞う。

この人、桜が恐ろしく似合う。
綺麗な人なのに、いつもは眉間に皺寄せてめちゃくちゃ怖いよね。
私、知ってるぞ。



「ん・・・」

『む、起きた?もしもーし、おにいさーん?』


うっすらと目をあけたおにいさん。
驚いてます。そりゃそうか。

「おま・・・」

『こんにちは。おにいさん。こんな所で寝てちゃ危ないんじゃないの?』


私はフワリと地面に降り立った。
着地は完璧。
ちなみに今までは木の枝にぶら下がってました。逆さまに。


『久しぶりのお客さんだからさ。お話したくて。』


桜の精って、暇なんだよ。




桜、ふわり




(桜の、精?!)
(そ。よろしくね、おにいさん。)

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