永久に約束

□も
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 南沢さんに指定された通り、日曜日に駅前で私服を着て待っていた。

「五月ー。……よぉ」
「南沢さん……約束の時間に二十分も遅れて謝罪も無しですか!?」

 そう、南沢さんは約束をとうに過ぎた九時二十分に堂々と現われたのだ。

「まあそう怒るなって。仲直りの方法考えてやろうって言うんだからさ」
「う……まあ……」

 そこだけは感謝している。あくまでそこだけ。他に感謝する点……? 無い。

「お前、今凄く失礼なこと考えてただろ……」
「い、いえ別にっ!」

 図星すぎて思わず裏返った声に南沢さんは笑みを漏らした。
 黙って笑ってりゃあイケメンなのに性格最悪だからな……。

「黙って笑ってりゃあ可愛いのに性格最悪だからな……」

 なぬ!?
 これぞ南沢さんマジック。
 なにこれ怖い。

「……マジックじゃない。声に出てた」
「うわ、恥ずかしいです。南沢さんなんかに思考を明かしてしまうなんて、私の一生の恥です!」
「何気にグサッときた」

 ケラケラ笑う南沢さんはやっぱりイケメンだ。思わず見とれてしまったじゃないか!
 その時大好きな声が聞こえた。

「っ、神山!? 南沢さんも一緒でどうした……!! 神童のやつはめやがったな……」
 蘭、だ。
「南沢さんと付き合ってんの?」
 蘭が俯きながら聞いたから私は彼の表情が読み取れない。
「うう「嗚呼、まあな」みっ、南沢さん!?」
『いいから見てろって』
 南沢さんが小さく言った。
 さあ私はどうなってしまうのか。

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