10000HIT企画文

□それだから
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「きみはそんなんだからモテないんだよ涼野君」

 君に言われたくないな。素直になれなかった結果、振られた君に。

「きみはそんなんだから好きな子に告白できなんだよ涼野君」

 君だって。必ず告白する前に振られているじゃないか。

「きみはそんなんだから両想いになれないんだよ涼野君」

 君も言うね。私の好きな人も知らないくせに。

「きみはそんなんだから目の前の人の気持ちにも気付かないんだよ涼野君」

 君こそ。私の気持ちに全く気付いてくれない。

「きみはそんなんだから、」
「もういい」
「……涼野君。私もう、本当に駄目かもしれない」

 嗚呼煩い。何度も何度も繰り返し好きな人の失恋話を聞かされるこっちの身にもなってくれ。

 名無しさんは毎回振られるたびに私の所へ来る。
 どうしてかは分からないけれど。

「涼野君は全然気づかないんだもの」
「何に?」
「……何かに。涼野君、きみのこと嫌いだからこうやって失恋話をするけど」

「まあ好きな奴に失恋話はしないだろ」

 よっぽど事情がない限り。
 まあ私だったら妬いてほしくて言うかもしれないがね。
 君にそんな思考があるとは到底思えないよ。

「涼野君、鈍感」
「は?」

「私、名無しさんは宣言します」

 涼野が大嫌いです。

 涼野を好きな人の気がしれません。



 ……何が言いたいんだ。

「ヒント。私の性格を考えてください」
「え?」
「では」


(私の涼野君への告白は終了)(あとは彼が分かってどう返事するかだけど)

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