笑顔=自分≠友達
□参拾参:気持ちの整理
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風が気持ちいい。
夜の風景は昼間とはまた違って美しかった。
にしても鬼道君の家は広いな。
「気持ちの整理、か……」
それはつまり、好意を寄せてくれている二人に対する、けじめ。
どちらが好きなのか、はっきりさせろということだ。
だが私には正直どちらが好きなのか、分からない。
だからこそ鬼道君は風丸とゆっくり話す機会を作ろうとしてくれているんだろう。
「風丸か、マックスか……」
マックスとは話す機会も多かった。入来院の時も中立を装いながらも助けてくれた。
風丸は話す機会はマックスよりは少なかったがあるほうだった。入来院の時は率先して助けようとしてくれた。
私は、どちらも好き。
本当に今決めなくてはならないのだろうか。
私には決められない。
一生懸命に思ってくれる二人のうちどちらを選ぶかなんて、私にはまだ。
もういっそのこと秋ちゃんにしちゃうっていうのは。
いやいやいや真剣に考えろ私。
「うーむ。恋愛って難しいねえ」
本当に、難しい。
「隼音思う男はどっちなんだ?」
「ッ!?!?!? ……なんだ、鬼道君か……驚かせないで」
「すまない。お前は、どちらの方がより“男”だと思う?」
「そりゃあ……×××××だけど」
「じゃあそちらのほうが好きということだ。一件落着だな」
「え」
いやいきなり出てきていきなり解決してくれるんじゃねえよドヤ顔ゴーグル。
どういうことだよ。
「そのうち、自分でもわかるさ。あいつは誰よりもお前を思ってる、そうだろ隼音」
「……そうだね」
うん、そうだ。
これで解決でいいじゃないか。
(異性として)(認めてるということ)