笑顔=自分≠友達
□弐拾漆:灰色の
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仲間を裏切る行為は許せない。
「翔嵐さ、」
「馬鹿。あのねえ、あんたは神のアクア見つけたんでしょ? ちゃんと。だったら何かできることもあるはずよ」
「でも、私の補正は、」
「補正? そんなの関係ない。あんたの補正に興味はないけど、絶対的にあんたは只の人で。それでもできることくらいあるの」
自分でも頭が痛くなるくらいはっきりと話す。
「えっ、神のアクア?」
「ええ……」
私の言った単語に反応した円堂に雷門が事情を話す。
「体力増強のドリンク……!」
「許せない……。サッカーを、俺たちのサッカーを何処まで汚せば気がすむんだ……!」
「そーだね、」
「!!??」
私のあげた声に皆が驚いてこちらを見つめる。
「無様な雷門イレブンのみんなもそう思うよね」
「翔嵐! 貴様……いなくなった挙句俺たちをバカにするのか!?」
「違うよ。――頑張ってくれてありがとうってことさ。あとどっか行ってたのはアフロディに捕えられてたってとこかな」
そう言いながら相手のベンチを見た。
アフロディは私を一瞥し、悔しそうな顔をした。
「確かに影山のしたことは許せない……けど、アフロディたちが悪いわけじゃないってことだけは覚えててよ」
「はあ? お前何を……」
「響木監督、私を後半戦使ってください」
「……いいだろう、」
「監督!?」
「はーい、アップしてきますねえ。あ、雷門」
とめちゃだめだよ。小声で忠告してからユニフォームに着替えるため更衣室に向かう。
―☆―☆―
「よし、ゆけっ!」
「「はいっ」」
全員がフィールドに向かう中、円堂がくるりと振り向いて自分のバッグをまさぐった。
(――なにしてるんだろ)
円堂はその中からおじいさんのグローブを出してはめた。
なーるほど。
「円堂っ、ふぁーいと」
(さあ上をむいて)(歩き出そう、勝利に向かって)