笑顔=自分≠友達
□拾玖:味方が増えましたまる
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「なーんだ張り合いないなあ」
あのあとすぐに鈴蘭信者たちは逃げかえってしまったから私は誰からも殴られることはなかった。
それでも、秋ちゃんはまだ脚が笑ってて、腰が抜けてたてない状態だった。
「大丈夫? こわかったでしょ」
「う、ううん……」
これは強がりだ。声が震えているのがよくわかる。
いつも皆に守られる側だったから初めての経験に驚いているんだろう。
「秋ちゃん、ごめんね。私が護ってあげられなかったから、」
「ううん! そんなことない! 隼音ちゃんは助けに来てくれたじゃない!」
「っ、秋ちゃん……。大好き!」
がばっ、と抱きつくと多少よろけながらも私を受け止めてくれた秋ちゃんが心底好きだ。
でも、
「ありがと、じゃ」
「え、ちょ、隼音ちゃん!?」
これ以上かかわったらまた目をつけられかねない。
ごめん、ごめんね秋ちゃん。
―☆―☆―
「部活ーー!!」
「くそ、なんでこいつまだ部活来てんだよ」
「まあ染岡落ちつけ。こんな奴でもベンチを温めるという役割がある」
「こいつが温めたベンチなんか座りたくねえよ!!」
ひどいなー。ベンチウォーマーは不動の大事な仕事だよう。
部活くらい行かせてよ普通に。
「隼音! 俺とパス練習しないか?」
「俺の練習に付き合ってくれよ!」
「……二人で練習してなよ」
半田、円堂が声をかけてきたけど、困ったことに皆が円堂の大声にこちらを向いてしまった。
これじゃあ、私と練習した方は悪者になってしまうじゃないか。
「隼音は、」
「私? 私は向こうで壁と仲良くやってるんでww」
へらっ、と笑いながら部室のほうに走った。
やばい。ちょっと嬉しいじゃないか。
何よりも二人が声をかけてくれたことが。