笑顔=自分≠友達
□拾捌:怖いのは最初だけ
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「おはよーっ!」
あいさつとともに突き刺さる視線。
いやん、そんなに見つめないで、照れるー。
「入来院さん大丈夫よ」
「で、でもぉ……私何回も拒絶されてるのに」
「皆ついてるさ!」
いやいやいや何の話だよ。
「あ、あのぉ、翔嵐さん?」
「なぬ?」
珍しい。入来院から話しかけてくるなんて。
ぜってーなんかたくらんでるよこの子目がきらきらしてる。
「いじめるの、やめてくれない? 翔嵐さんもつらいでしょ?」
ktkr死亡フラグww
やってもいないことをどうやってやめろと?
取りあえず微笑んでおいた。
「うーん、やめたいのは山々なんだけどね?」
「じゃあ、なんでっ……」
これだけ目えキラキラさせながら(私をいじめられる喜びからね)こんなこと言っても本気に聞こえるなんてあんた女優になりな女優に。
「……あんたやめる気あるの?」
「ないに決まってるでしょ? 風丸君をはじめとしたサッカー部は、私の物」
彼女は彼女で人生を楽しんでるわけで。何も云う気はない。
「翔嵐さ……きゃっ!!」
「っ!?」
私の名前を呼び掛けて、入来院は私を引っ張った。
――やばい。
このまま倒れたら入来院が下敷きになって結構大けがをする。
なんでって彼女が思い切って引っ張ったから。
とっさに彼女を上にする。
「ったあ……」
「!? んで……」
「……??? なんでって……女の子にけがさせたくないし?」
どうしてそれを聞くのか全く分からない。
自分だってけがはしたくないだろうに。
私が微笑むと入来院は目をそらした。
「大丈夫か鈴蘭!?」
「鈴蘭様っ」
「翔嵐、」
「……はーあ。残念、失敗しちゃった」
「え……?」
私はわざと“失敗”と言った。
きっと皆の目には私が入来院を転ばそうとしたように見えるだろう。
駆け寄る人たちから憎しみの声で、目で、雰囲気で。
私は拒絶された。
嗚呼これが拒絶。要らない。嗚呼、独り。
おっしゃー。これで入来院は悪者にならないらしい。
皆入来院を見て心配をしている。
何人かを除いて。
「隼音、」
「煩い。黙って」
マックスが私にいらついた声をかけてきた。
でも私の返答は初めての拒絶。
こっちはこっちの考えがあるんだから黙っててほしい。
秋は、風丸は、心配そうな目でこちらを見ていた。
「折角、鈴蘭が仲直りするチャンスをくれたっていうのにてめえは」
「ごめんねえ、染岡君w私茶番の友情には興味ないんだ」
本当の友達が居るんでね。という目で彼を見据えると心底気持ち悪いといった顔をした。
さあて、そろそろ始動。