笑顔=自分≠友達

□拾肆:こいつにだけは言われたくない
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「だーかーらーっ、ごめんって!」

 そもそも私はなんで謝っているのだろうか。
 電話番号を交換したからと言ってマックスが怒る義理はない。
 それに何故か風丸も不機嫌そうな顔で出迎えた。
 流石にマックスが私をたたこうとした時は止めてくれたけど。
 『隼音のバカっ!』って女子かよw

「隼音には僕の気持ちが分からないんだよ……」
「っ、なんなの? 分かるわけないじゃん。人は人それぞれ考えてること違うんだしw」
「そりゃあそうだけど、」

 今のは流石にいらっときた。
 何が言いたいわけ? わけわかんない。
 それで私たちの会話は途切れて。
 私たちの前の席はがやがやしているのに、入来院の金切り声もあるはずなのに、静かで。
 此処だけまるで別の空間のようで。
 でも決して居心地が悪いわけじゃなくて。

「隼音、ちょっといいか?」
「……風丸」

 夢から覚めたような私のセリフに風丸はちょっと眉をひそめた。

「あは、ごめんね」
「大丈夫だから」
「うん」
「元気だよ」
「っ、隼音! 大丈夫か?」

 うわごとのように繰り返す私に風丸が焦ったように声をかける。
 なんだか私は不機嫌になってしまう。
 なぜだろうか。
 あの空間を邪魔されたからだろうか。
 だがどうしてそれで怒るのだろうか。
 わからない、

「いやー風丸さんが美人過ぎてww」
「……なら、いいけど」

 いいのかw最近慣れてきたなお母さんwww

「んで、何の話だっけ?」
「ちょっと話がある――、豪炎寺たちが」

 悲しそうに、申し訳なさそうに風丸が私に言う。
 その『豪炎寺』という単語にマックスが反応した。
 分かりにくくだけれど。
 優しいなあ。
 前ががやがやしている中、小さな私たちの話声。

「あら、そ。何かな、豪炎寺君?」
「……お前、サッカー部やめる気ないか?」
「んー? どゆことなの」
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