笑顔=自分≠友達

□漆:初めてできた『分かってくれる人』でもそれは表は中立を保つ彼。
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 つぶやきながら見たのは入来院が背の低い女の子、リボンからして一年生――をいじめている現場。その女の子の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。




 かつかつかつとワザと音を立てながら入来院に近づいてどかした。苛められていた子が小さく悲鳴を上げる。




「ひっ」
「……入来院」




 ひどくどすの利いた声でいえばにっこりとそりゃもうぶりぶりっこな笑みを私に向けた。気持ち悪いだけだからこっちにそんな笑顔向けるな。



「煩いわ、黙って頂戴」

「あんたこそ黙ったら?」




 冷戦状態。私たちはお互いに手は下さない。

 手を下したらそれだけで自分のポイントがマイナスになることをお互いに分かっているから。まあ、入来院はそんなこと気にしてなくてトイレという空間で自分の手が汚れるのが嫌なだけだろうが。


「鈴蘭様……っ、そろそろ」
「ええ……わかったわ」


 す ず ら ん さま……だ、と……?
 趣味悪っwwww←








「ふふっ、その正義感があだになるって知らないでしょうね、今は」






 意味不明の言葉を残して入来院は去って行った。
 正義感……?
 意味不明だ。
 私に正義感なんてこれっぽっちもない。只の自己満足。















「あの……すみませんっ!















 ……助けてください! この人が、いやあぁぁあぁあ!」


 え……? その一年生は私を見て叫ぶ。まるで私がいじめたかのように。






「どうしたの? ……向原さん? と、翔嵐さん? 何があったの?」












「この人が、私を急に……」












 わ、私何にもしてない……。


 嵌められたと気付いたのは向原と呼ばれた女の子のニヤリという会心の笑みを見たとき。



 成程ね。























 入来院、あなたは私に全面戦争を仕掛ける気らしい。
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