略奪彼氏
□奪われたいって顔してるぜ?
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それからその子とは疎遠になって。
よく睨まれたりした。親友だったなんて考えられないくらい。
「……結構ひどい話でしょ?」
「……そうでもないよ。日常茶飯事」
優しいね、秋は。
半端に慰めるよりこうやって言われた方が気持ちがいい。
「そう、それで……」
私はそれから一カ月くらいしてからいじめにあいはじめていた。
首謀者は何となく分かっていたけど言いたくなかった。
傷つくと知っていたから。
何人も何人も。
そもそも言ったところで聞いてはくれないだろうし。本人も、周りも。
「零? どうした最近元気ねえなァ」
「っ!!」
来た、明王が。
やめてやめてこっちこないで(こっちに来て)。
私に関わらないで助けようとしないで(助けてよ)。
明王なんて嫌い、嫌い、大っきらいなんだから(好き、好き、大すき)。
「いじめの首謀者、分かっちゃった。言っていいかな?」
「秋……、うん」
「――