Romance

□片恋ナ
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二年六組十七番、山野咲菜。
彼はいわゆる、人気者、という類だ。
見た目は少しチャラついてはいるが、芯の通った今時珍しい男の子。
同じ男から見ても、かっこいい人で、つい好きになってしまった。
いや、こんな気持ちは、所詮(しょせん)2時元のうわごとに過ぎない。
漫画やゲームの中だけの話であって、つまりは3次元では叶いっこない夢物語だ。

ーーーーだいたい、山野君は正真正銘、ストレートじゃないか


このとき、僕は知らなかった。
山野君が、実は女の子が苦手であることも、彼の弟さんへ向ける優しい眼差しの意味も。
もし、あの場所で偶然にも同じ本へと手を延ばしたりしなければ、そんな些細な事にも気付きはしなかった。

僕はまだ、クラスメイトだ。
何も知らないし、ろくに口もきいたことがない。
それでも、諦めたくなかった。だって、


僕の片想いは、まだ始まったばかりだから。
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