Romance

□片恋ナ
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「「え……あ……」」


出会いという、イベントは存在しない。

何故なら、出逢いはいつだって突然だからだ。






"俺、ちひろが好きだ。"

「ぶはっ!」
高層ビル群のような三本フラグが立った瞬間、頭の中でゴングが鳴り、鼻血リアクションが発動した。
しばらく悶えてから、投げ出したコントローラーを拾う、俺、青山千尋は情けなくも男である。
鼻血リアクションとは、興奮した時などに飛び出す鼻血を真似たものだ。
いわゆる、カラ鼻血。
なぜ悶えていたのか。それは、告られたからだ。
いや、現実では決してない。
それに、女子でもない。
俺の王子様は、二次元、画面上にいる、桜庭 亜喜良、だ。
彼は、乙女チックゲーム"桜の園"に住まわれていらしゃる、イケメン。

もう、おわかりだろう。
俺は、れっきとしたオタクであり、腐男子であるのだ。

事の始まりは、双子の姉、美羽の影響だった。美羽は俺よりも年季の入った腐れ人間。オトゲーは勿論、BLに染まっている。
そんな姉にオトゲーをたくされて、早10年。
無理矢理かり出されていた即売会も、今じゃ積極的に足を運ぶ。
BLは、最近たしなみ始めたばかりで、初心者だがオトゲー攻略なら、お手のものだ。

「千尋ー!早く起きないと、学校遅れるわよー!」
階下からの声で、TV画面からデジタルの置時計に目を向ける。

つい先ほどまで2時すぎだったのに、気が付けば朝の7時だった。
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