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□君を何度も好きになる
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同棲を始めて三ヶ月ちょっと。
二人の穏やかな、時間。
記憶をなくす前から今までのファンクラブ騒動もあってか、お互いに世間一般で言われる清いお付き合いをしていた。
「ねぇ、マイ」
「なんですか?」
お風呂を入ろうと寝間着と下着を両手に持ったままイッキを見る。
「最近、何で…僕を置いて他の男といちゃついているの?」
缶ビールを片手にて、彼は不機嫌そうにマイを見つめた。その瞳はアルコールによって熱を帯び、言い回しはどこか過去にあったお酒を飲み過ぎた時の出来事に似ていた。
「えっ…?」
「バイトだよバイト」
「…バイト?」
「最近、僕を差し置いてケンとかシンばかりに頼ってるじゃない。彼氏の僕じゃ駄目なの?」
「それは……」
そう言いかけてマイは黙り込む。彼女のそんな様子に、イッキは少し腹を立てた。
「……言えない?」
「………」
「もう、限界。ちょっとこっちに来て」
「………!イッキさんっ?」
飲みかけの缶ビールを静かに机の上に置いていたかと思うと、勢い良くマイの体をベットの上に押し倒した。
投げだされる部屋着。
スプリングが軋むと同時にマイの目線が天井にいく。その上からイッキが彼女を跨いで覆い被さってきた。
「………」
「マイ」
お酒の匂いと甘い雰囲気と。
イッキは呆然とする彼女の耳元で、甘ったるくささやく。
「僕のそばは嫌?」
「何をいって……」
「ねぇ」
「あっ、だめ……!」
イッキにスカートの中に手を入れられ、ゆっくりと太股をなで上げる。ひやりとしたイッキの手にマイの体はびくりとした。
「マイ……」
「んんっ」
「可愛い」
目をつぶるマイを横目に、下着と太ももの付け根の間から、指を忍ばせると秘部に手をはわせた。ふっとイッキの顔が笑みを浮かべる。
「濡れてるね。感じた?」
「そんな……」
「うそつき」
そう言って、悪びれた様子もなく優しく触れる。何度も触れられる度にマイの体が震えた。
「…う…」
「………」
「っ……やっ…」
「初めてでしょう?辛いなら言って。………嫌なら、逃げてよ」
ふと、視線がお互いに合う。快感に溺れそうになるマイの表情とは裏腹にどこかイッキの表情は苦しい。
「イッキさん……?」
マイの右手がイッキの頬へと触れた。イッキは驚く様子もなく、愛液に濡れた手を止めない。
「君は……僕の目が利かないんだもの。好きか心配になるじゃない」
泣きそうになるイッキの表情。普段は見せない顔にマイは口を開く。
「…っつ!……、イッキさんに…頼りっぱなしは…よくない、からで……っ」
「……頼りっぱなし?」
マイの言葉にイッキは手を止めた。
思いをぶつけるようにマイは声を絞り出す。
「イッキさん、就職してバイト辞めるから……頼らないように私、独り立ちをって…ごめんなさい」
「………そうか。そうだったんだ。マイ…君って本当……」
「………」
「……君のことになると僕は、バカみたいに悩んでしまうみたいだね」
スカートのホックを外し、手慣れた様子でイッキは脱がせていく。
不安げに顔をのぞき込むマイをよそに、苦笑気味のイッキはマイは足首をつかむと、膝を胸までつくまで押してきた。
「何して……!」
「途中までって辛いでしょ?」
「……は」
「イかせてあげる。優しくするから、ね」
「ちょっと待ってください。よっ、酔うのもいい加減にして……!?」
イッキの様子に焦って抵抗する、マイ。抵抗する様子にも動じず、足の付け根からゆっくりと下着を脱がしていく。
「怖くないから」
「そんな問題じゃ……あっ!」
ぐっと濡れぼそった秘部にイッキの綺麗な指が入っていく。
まだ誰も受け入れていたことのないそこは、初めて受け入れる異物を奥に入れまいと抵抗した。
「狭い…ね」
「いっ…」
「マイ、好きだよ」
「イッキさ……っ」
怖さとかすかな痛みで涙目のマイをよそに指を奥まで入れていく。ぐっと入れられ、溢れた涙が頬をつたい流れた。
「……うぁっ」
「ほら、見てみなよ。君のこっちがいやらしく動いてるよ」
マイの秘部をイッキの長い中指がゆっくり出入りする。
「…っ、ナカきゅっとしちゃって可愛い」
「そんな…っ」
「ほら、また」
「ば、ばかっ……あ!」
痛みとは裏腹にマイは、初めての甘い痺れに戸惑いを見せた。
「感じちゃう?」
「はっ、いやっ…」
「……溢れてきたね」
「……ん、あっ」
「…………」
マイの愛液がシーツを湿らせているのを確認したイッキは、ゆっくりと出入りさせていた指を一本から二本に増やし、徐々に早くしていく。
「あっ……イッ、キさん……!」
早くなる指の出し入れ。
脳を刺激する甘い痺れ。
イッキの指を頬張ったナカが何度も弛緩して指を甘く、甘く締め付ける。
「見ているから、イって?」
「…い…ぁっ……もっ…!」
「………」
「イッキさ…あああっ……!」
脳内が白くなったあとの倦怠感。
ぐったりとしたマイの体。
惚けたマイの顔にイッキは言いようのない幸せを感じた。
「マイ、愛してる」
「ん…」
触れた唇から感じる、アルコールと甘い雰囲気。
「…………」
今までになかった馬鹿みたいな幸せが続くかと思うと、過去の自分が馬鹿らしく見えてくる、イッキは軽く口付けをしながらそんなことを考えていた。
「はい……おーしまい」
そう言って、指を優しく引き抜く。異物感がなくなる感覚さえも甘い刺激になって、マイの腰は揺れた。
「ん、んっ」
「疲れたでしょ、休んでてよ」
「え……?」
「……おわずけ。結婚するまでは、ね」
赤くなるマイをよそに、優しくマイの頭を撫でながらイッキは微笑んだ。
君を何度も好きになる