a short story
□You are in the purgatory.
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静かな住宅街の一角。
逃げる途中でこけたマイを血を浴びたままのウキョウが立ちはだかる。
「マイ」
「あ、あなたは……!」
驚愕と怯えに苛まれたマイの顔はとても美しいと、ウキョウ思った。
震える彼女の首筋に顔を近づける。
「逃げられないよ、というべきかな?マイ?」
「……シンは?」
「頭悪くないんだから、今の君自身の状況を見ればわかるでしょ?」
クスッ、思わず笑いをこらえるウキョウが見たのは、すべてを失って絶望する生きるマイ。
「う、そ……」
「……可愛い、俺だけの玩具。体が震えて可哀相に…。もう君が戻れる場所なんてないんだよ」
「………」
「もうループなんて飽きた。二人で永遠に一緒にいよう?」
マイはウキョウの目を見てなにも喋らず沈黙していた。たださっきと違うのは、彼女の目に光が映さなくなったこと。
それさえも愛らしくて、ウキョウは彼女の背に手を回して肩を抱いた。
「ずっと俺のそばにいて?何があっても俺が貴女を守るから」
それから、だれも二人の姿を見たものはいない。
You are in the purgatory.