a short story
□I want to think that it is a lie.
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ケントが異変に気付いたのはいつだっただろうか。
ある一定の日にちから、強い違和感を感じるほどマイは自分に対してぎこちなくなったと感じてはいた。
先日から、一つの可能性が頭の中で浮かんでは消えを繰り返している。まさかとも思っていた。
この話を話そうと切り出そうとも思っていたがきっかけを掴めずにいた。
「……?」
どうしたのだろう、と言いたげな彼女の透き通った瞳がケントを捉える。ケントから見たら、以前の口論ばかりしていたあの頃との彼自身に対する態度の変化は喜ばしいことでもあったのだった。
なのに、だ。
「……」
言えない。
もし、自分の考えが当たっていたとしたらどうだろう。
彼女は離れていくのだろうか。この友好的な関係はなくなるのだろうか。
「マイ、君は…」
「……」
「…いや、何でも無いんだ。気にしないでくれ」
純粋な瞳の前に、ケントは知るのが怖かった。
不必要な言葉を言ってまで彼女と離れたくはない、今のケントの素直な気持ちだった。
I want to think that it is a lie.