a short story
□She is mine.
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「なぁ、マイ?」
冷たいタイルにシャワーの叩き付けられている音。水は熱を持ちトーマとマイを叩いていく。
水を含んだシャツを着たままのトーマはにっこりと素肌を晒すマイにいつもの笑顔を向けた。ぐったりとするマイの焦点はタイルを見つめている。
「聞いているの?」
「………」
ぐっと、下を見つめるマイのあごを優しく引き上げ、甘いまなざしを向けた。絡み合う視線に一瞬マイの瞳は揺らぎ、乾いた唇が動く。
「…聞いているのなら、こっちぐらい向いて?」
「………ごめん、なさ…い」
「それならいいんだ。でもね、マイ?」
そう彼女の名前を呼ぶトーマの瞳が一瞬で冷たいものに変わった。
「どうして、お前の体はオレを受け入れてくれないんだろうね?」
マイの股の間を流れていく朱。次へと受胎を受けなす準備。
女だけが授かることの出来る自然的な摂理の証が水と交わり、流れていた。
「オレが一日中与え続ける?それとも、もっと愛し方が足りないからかな?…どうやったら、お前の体は答えてくれる?」
「……っ!」
マイの下腹部を優しく這う右指は茂みへ、そして赤を彩っている部分へと辿っていく。
女として摂理を行う場所にたどり着いた色白の指が愛おしく上下に擦ると、指は赤に染まっていった。
「こうして、さ。ずっと愛してあげようか」
トーマの指と触れた部分は熱を帯びて体を火照らせ、指が奥に入り込みそうになる度にマイの体は揺れた。
「…あっ……!」
「どうしたの?」
甘い声に指先。
トーマはマイを自分の部屋から一歩も出さない代わりにこうして、一方的な愛を注いでいた。それが周囲から異常だと思われようが、トーマにとってマイが見ていない間に他人から傷つけられることが一番恐ろしかった。
「トー、マ…っ」
「もっと、欲しいの?」
マイが頷くのを確認するとゆっくりと入っていく指先。マイの息を詰める音。赤はいっそう濃くなって水と混ざっていく。
そして、奥まで入ると、ゆっくりとピストンを始めた。
「…いつもより温かいね」
トーマは苦笑気味に笑うと、指での行為を早くさせる。
「どこかで読んだけど、こういうときって感覚が鈍感になるって書いてあったけど、本当かな?」
「…はあ……はぁ」
「……マイは違うのか?ん、気持ちいい?」
マイの秘部はトーマの指を締め付けると同時に、次なる刺激を求め奥へと指を導いていく。マイの呼吸は荒くなっていた。
「そんなに急かさなくても大丈夫だ…っ。マイの気持ちいいところ、ちゃんと知っているから、なっ…?」
震えるマイの腰と快楽に酔ったマイの瞳に、トーマは犯している気分になり息をが詰まっていくのを感じた。
「や…も……っ…はっ…!」
体は快楽からの解放を求め、間隔を空けずトーマの指をむさぼっていく。求められた指も答えるように力図よく、朱を、秘部を、犯した。
「あっ…!!」
白くなる景色。純粋な快楽を受けつけ痙攣する体。
朱が流れる――…
マイは秘部にトーマの指を銜え込んだまま、彼の胸へ倒れ込んだ。
「今度はオレに…マイをちょうだい…っ…」
トーマはマイを優しくタイルに寝かせると、シャツを脱ぎ捨てる。
二人の荒い息はシャワーの音にかき消され、バックルの音が室内に響いた。
She is mine.