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□願いが叶いますように、と星に願う。
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七夕フリー文。

願いが叶いますように、と星に願う。

部室の扉をくぐると、楽しそうな鼻唄が聞こえた。
正面には机に向かい、何やら作業をしている音無先生の後ろ姿。
「…先生、どうしたんですかそれ?」
覗き込むと、先生は縦長に切り揃えた色とりどりの折り紙でわっかを作り、カラフルに繋げていた。
その傍らには……竹?
「神童くん。あ、これ?笹よ」
ふふ、と嬉しそうに音無先生は笑った。
「笹…ですか」
「ええ、今日は七夕でしょう?雰囲気だけでも、と思って商店街から一つ小さいの貰って来たの」
ああ、そうか…七夕か…
小さい頃はよく短冊なんかを書いたっけ…
先生はまた鼻唄を口ずさみながら折り紙を繋げて行く。
その優しいメロディが心地よくて、思わず聴き入る。
「あ、そうだ!ね、短冊に願い事書かない?」
商店街で折り紙買ったらお店の店員さんが短冊もくれたの!と、勢いよく先生が振り向いた…作業を覗き込んでいた俺の目の前に、目をキラキラさせた音無先生の顔…
その距離の近さに、心臓が飛び上がった。
「っ…!?」
一気に顔に熱が篭ると同時に、部室の扉が開いた。
「あれ?先生何それー」
入って来たのは霧野や三国先輩、南沢さんだった。
「あ、皆丁度よかった。ねぇ、短冊書かない?」
爛々とした表情のまま、先生は椅子から立ち上がり、短冊の束を持って部員達に配り歩いた。
「ああ、七夕ですか」
それを受け取った三国先輩がもうそんな季節か、と呟く。
「書いたら好きな所に結んでね」
そう言う先生はとても楽しそうで…まるで少女の様な顔で笑って、さっきまで先生が作っていた折り紙でカラフルに飾り付けられた小さな笹を壁に立て掛けた。
「…願い、事……」
先生が、俺を見てくれますように…
なんて……
書いてから赤面する…
すると…
「神童くんは何て書いたの?」
ひょこっと後ろから先生に覗き込まれ、慌てて短冊を隠した。
「い、いえ!たた…たいしたことない事、です…」
「そうなの?」と、微笑む先生に胸が締め付けられる。
そしてため息を一つ、さっき書いた文字を消した。
とりあえず、今の願いは『一日でも早く願いが叶いますように…』とでも書いておく事にしよう…
………あとがき…………
七夕話。
なんとなく拓春で…ってか拓→春か?
即席なのでいろいろ酷い/(^p^)\
しかし今年もまた曇り…てか雨の予報なのですね……(´;ω;`)
2011.07.07 のんこ


のんこさん素敵な作品をありがとうございました!春奈先生可愛すぎる(笑)

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