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□言えないものは言えないのよ、
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「突然ながら、我がケロロ小隊はペコポンを退却する事になったであります」
そう言ってボケガエルはいつも通りの敬礼をした。それからはあれよあれよという間にさよならのお別れ会をして、冬樹が軍曹行かないでと泣いて私はさっさと行っちゃいなさいと言って、
(あぁそうだ。さっさと帰っちゃえばいいんだあんた達なんて)
まるで最初からあんた達なんて居なかったみたいに、そうよどうして私があんた達の事を覚えてなきゃいけないのよ。地球を侵略しようとやって来た宇宙人なんか、私が覚えておく必要ないもの。(必要ない必要ない必要ない。だって私はあんた達なんか、あんたなんか)
「夏美殿、今までお世話になったであります!」
「何言ってんのよボケガエルのくせに。私はせいせいしてるわ。あんた達ってばいつもいつも問題ばっかり起こしてそのたんびに私が怒って、あぁでもトイレ掃除や洗濯は助かったと言えなくもないけど。」
(嫌だ、なんで私こんな焦ってるんだろう。これじゃまるで、)
「夏美殿…?」
「なによ。…どうしてなのよ」
「夏美、殿」
「煩いっ!なによボケガエルのくせに!あんたなんてさっさと行っちゃえばいいのよ!」
(私があんたに、帰ってほしくないみたいじゃないか。)
「大嫌いよ、あんたなんて。」
泣かない、泣かない、泣かない。
唇を噛み締めて拳を握り締めて憎い憎いお騒がせ宇宙人を睨み付けて、
(さよならバイバイ、もう会う事もないカエルの宇宙人)
「バイバイ、ボケガエル」
「…お元気で、夏美殿」
「あんたもね」
(行かないで、なんて私は言えないの)
*
ケロ夏とクルモアが好き。
20110618