reborn

□暇つぶし
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 その長い長い銀髪が疎ましくて仕方なかった。僕以外の誰かを想って伸ばしたそんな髪、ばっつりと切ってしまいたい。(そうだ、いっそのこと丸坊主にでもなってしまえばいい。君みたいな愚か者には、ハゲがお似合いだ。)

「スクアーロはいつまで髪を伸ばすの」
「…アイツの夢が叶うまでだぁ」
「それは心の浮気と取っていいわけだね」
「う゛ぉぉい!!な、なんでそうなる!?」
「だってそうだろ?君は仮にも彼女である僕以外の誰かを想ってその髪を伸ばしてるんだから。これが浮気じゃなくて何だって言うんだい」
「ヤキモチだろぉ」
「黙れ」

 足蹴にすると、何が嬉しいのかスクアーロはにやついた。気持ち悪いことこの上ない。(ちなみに彼は顔に似合わずマゾヒストだったりする。僕自身マゾヒストの気はあるが、それ以上に気味が悪い。)

「…どうすれば気が済むんだぁ」
「丸坊主になってくれたら僕への愛を感じる」
「う゛ぉぉい!!それは無しだぁ!!」
「どうして?やっぱり浮気してるから?」
「違っ、…だからだなぁ!その…俺にも一応ポリシーってもんがある訳で…」
「そんな下らない物に縋りつく男大っ嫌い。死んじゃえ」
「う゛ぉぉぉい!!ちょっ、待てマーモン!!」

 スタスタと歩き出せば、ドタドタと僕の後を追う足音が一つ。当然歩幅は向こうの方が大きいので、すぐに追い抜かれて行く手を塞がれた。こういう時の焦った表情は、好き。(なぜなら僕への愛を感じるから。)

「…どいて」
「嫌だ」
「なんで」
「なんでもだぁ」
「…わがまま」
「お前に言われたくねぇぞぉ」
「失礼な」

 彼はしょうがないというように溜め息を吐くと、唸りながらもこう言った。

「…さすがに坊主は無理だけどよ……ちょっと切るくらいなら…いいぞぉ」
「…え、」
「そのだな…俺はザンザスをボスにしてぇって誓いをこの髪に立ててるけどよ…マーモンのことも、一応大事に思ってるから…そんなに言うなら、ちょっとだけなら切ってやる」
「…ふぅん。…一応とかなんか気に食わない単語も見受けられたけど…、しょうがないから許してあげるよ」
「マ、マーモン…」

 彼の頬が赤くなるくらい可愛くにっこりと微笑んで、(付け加える言葉なんて一つしかない。馬鹿な男、僕を誰だと思ってるの?)






「お金次第でね」



 彼の「う゛ぉぉい!!」と言う叫びが、基地内に大きく木霊したのは言うまでもない。(あぁ楽しかった!)


*

マイナーでも構わない。

20110615

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