reborn

□悩殺スマイル
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 京子ちゃんはとても可愛い女の子だ。
 栗色の甘い色したふわふわの髪の毛やくりくりと愛らしい大きな瞳。そしてその大きな瞳を縁取る長い長い睫、色素が薄く絹のように滑らかな素肌。
 そのくせ性格は飾らない気取らない自慢しない、おまけにとびきりの兄思い。あぁ、なんて出来た子なんだろう。(ようするに彼女は美少女なのだ。一般人の私がとやかく言って何かが変わるわけではない、天使みたいな子。)



「だからと言って最初から勝ち目がないと諦めるのは良くないとハルは思ったんですよ。ハルにだってちょっとくらいは京子ちゃんに劣らない部分がありますし、というか比較をしている時点でハルが負けているのは確実なんですけど、」

 だけど、と言って彼女は言葉を止めた。
 それから彼女のお気に入りのモンブランケーキを頬張って咀嚼して、紅茶と共にごくりと飲みほす。(あぁ、優雅とは程遠い)

「だけど、たとえ見た目で劣っていたとしても気持ちなら負けてなかったんですよ。…残念ながらハルの思いはツナさんに届きませんでしたが。」

 つまりは何が言いたいのか、それはとても簡単な事だ。

「負け惜しみ、でしょ」
「煩いです」

 じんわりと、心なしかその大きな瞳を濡らして彼女はケーキをまた頬張った。もぐもぐごっくん、味わいなんて少しも感じない。だけれど彼女は頬張り続けた。
 負け惜しみ言い訳皮肉、どれにしたって同じだけれどそれは結局言葉として紡ぐ彼女の心を押しつぶすモノのようで。
(馬鹿だなぁ、君は)

「嫌いになれないで傷付いて泣くくらいなら、やけ食いしてる方が君らしいよ」
「わかってます、それくらい」
「君は笑ってこそなんだろう、三浦」
「そうです、ハルの笑顔は見たものを魅了する悩殺スマイルなんですから。雲雀さんだってイチコロですよ」
「それは頼もしいね」

 彼女は面倒になったのかフォークを使う事を止め直にケーキを手で掴み、食べ初めた。ちなみにそれ、本日何個目だい?
 手にも頬にもクリームを付けてそれでも涙を堪えて、彼女は笑った。

(あぁホント、)

「悩殺とまでは行かないけど、イチコロなのは確かみたいだよ」
「はひ」



(君って馬鹿で愛しいよ)









 笑った僕を見て三浦は悩殺スマイルですと言ってケラケラ笑った。


*

以前企画で提出させて頂いたのを修正したものです。
雲雀さんはハルをあたたかく見守ってればいいよ。

20110616

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