reborn
□甘すぎない
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むにむにとした頬が緩んでいる。きっと飴でも舐めているのだろう。(実は彼女は辛いものが嫌いで、隠れて甘いものばかり食べているから。)
甘すぎない。
「う゛ぉぉおい!なに仕事サボってやがる!」
「む、スクアーロか」
「お前には任務があったろーが!」
「そんなのとっくに終わってるよ。馬鹿だねキミは」
「う゛ぉぉおい!!なんだとこのクソガキ!!」
「あぁもう。五月蝿くて鼓膜が破れちゃうよ。もう少し静かにしてくれない?」
コロコロと咥内で飴を味わいながら耳を塞ぐ様は、さも迷惑そうで腹立たしい。(もっと大声出してやろうか)
「飴なんて食いやがって…ベル以上にガキだな!」
「失礼な。これはキミなんかじゃ一生かかっても手に入れることの出来ない高級品なんだよ」
「そんな飴がか?」
「そ。わかった?お馬鹿で哀れなスクアーロ」
「う゛ぉぉおい!」
「五月蝿い」
深く澄んだ藍色の瞳にオレを映し出し、そのまま捕らえて離さない。(強欲なくせに、キレイな瞳。何も物をねだったことのない子どもみたいに透明だ。)
「旨いのか」
「とってもね」
「あーそうかよ」
「欲しいの?」
「くれんのか?」
「やだよ、いくらしたと思ってるの」
「この守銭奴め」
「褒めなくてもいいよ」
「褒めてねぇぞぉ」
ふふふ、と愉快そうに笑う彼女は愛らしかった。赤ん坊の姿の時からそうだが、彼女の口元は何とも言えず可愛い。まるで猫みたいだ。(どっかの王子みたいに、諦めの悪いやつだけが触れられる猫だ。オレなら確実に引っかかれて終わるだろう。)
「…そんなに欲しいなら、あげてもいいよ」
「う゛ぉおい…熱でもあんのか?」
「殺すよ」
「冗談だぁ」
マーモンはちょいちょいと指でオレに傍に来るように示し、隣に座らせた。口の中でコロコロ躍る飴はそのままに、彼女はポケットを探る。(吐息から仄かに甘い匂いがする。)
「あぁ、あったあった」
「…いいのか?貰っても」
「別にいいよ、お互い様だし」
「何がだぁ」
「それは秘密」
甘い吐息と悪戯な笑み。こいつは魔性だ。
「目を瞑って」
「なんでだぁ」
「飴を見られたくないからだよ」
「別に全部食おうなんて思ってねぇぞぉ」
「いいから。瞑らないならあげない」
「……」
彼女が頬を膨らませて不機嫌になる前に、オレは言われた通りに目を瞑った。(別に、どうしても飴が食いたいわけでじゃない。ただ怒らせると後が面倒なのを知っているから)
「開けないでね」
「わかってる」
「じゃああげる」
そっとオレの頬に彼女の手が触れて(それは微かに震えていた。)、唇に押し付けられたのは飴ではなく柔らかな、
「、」
「ん、」
(たぶん、彼女の唇。)
驚いて開いた唇の隙間から、彼女が舐めていたであろう飴を押し入れられた。(咥内が甘くとろけ、喉が震える。)
驚きの叫びは彼女にそのまま飲み込まれ、掴まれた頭を離すことも出来ない。ただただ感じるのは飴の甘さと、痺れるような身体の疼き。
くちゅり、と音を立てて互いの舌を擦り合わせる。それだけで下腹部に熱が集まるのは、悲しい男の性だ。(決してオレが特別な訳ではない!)
「っ、マーモ、ン!」
漸く彼女の唇から逃れ、その細い肩に触れて勢い良く引き剥がす。(熱くなった身体はまだ彼女を求めているようで、名残惜しそうに銀色の糸が引いた。)
「な、何のつもりだぁ!」
「何って…飴、食べたかったんでしょ?」
「だからってお前!」
底意地悪そうに笑って、彼女は言った。(赤く染まった頬はそのままに)
「キミと食べると甘過ぎなくてちょうどいいや」
甘すぎない。
(オレは痺れるようなキミの甘さにやられたわけだが。)
「飴代とキス代、しめて3万5千円になりまぁす」
「う゛ぉおい!!」
「ははは、またやろうね」
「っ、」
(その笑顔は、狡い。)
*
スクマモ、好きなんですよね(笑)
スクを想い続けてるマモが萌えます。いつも私の書くスクマモはマモちゃん報われないんですが、今回はスク視点なのでスクの心情変化が分かると思います。
てゆか私の書くスクは結局マモが好きなんだね←
ベルの方が片想いというマイナー具合乙www
とりあえずスクマモ大好きですぎゃはぁ(^O^)/
20110614