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□降りしきる想い
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 しんしんと音もなく降る雪を見上げながら、万屋までの道を二人で歩く。何も音がしないというのはつまり、私と銀ちゃんの他には誰もいないという訳で。つまりは二人キリ、という訳で。
(こんな時、どんな話をするんだろう。友だちなら、家族なら、…恋人なら。)

「寒いネ、銀ちゃん」
「そだな」

 そっと、遠慮がちに触れた銀ちゃんの手は温かくて、私の冷え切った指先をじんわりと溶かす。

「銀ちゃんの手はあったかいアルな」
「お前の手は冷たいのな」
「女の子はみんな冷え性なのヨ」

 ふぅんと言って、銀ちゃんはぎゅっと私の手を握り締めてくれた。
(でも、これは親愛であっても恋愛ではない。つまり「好き」ではあっても、「愛してる」ではないってこと。)
(変なの。私の銀ちゃんを想う気持ちは、限りなく愛に近いのに。)

「…銀ちゃん、銀ちゃんは好きな人とか出来たことある?」
「あぁー?んー…覚えてねぇなぁ」
「じゃあ、『好き』と『愛してる』の違いって何かわかるアルか?」
「…そりゃおめぇ…なんつーかだな…うーん」
「オトナなのにわからないアルか。」
「…わかってても、言えないことがあるんだよ。…まぁお前も大人になればわかるさ」

 はははと乾いた笑いを零して、銀ちゃんは私の手を握る力を、少しだけ緩めた。
(まるで、これ以上何も聞くなとでも言うように。)

「…じゃあ、」

だから私は、逆に銀ちゃんの手をきつく握り締めたんだ。(離さない、離したくない、離れたくない。だから、)

「私の銀ちゃんを想う気持ちは『好き』アルか、『愛』アルか。…銀ちゃんはどっちだと思う?」

 これは一種の賭けだ。彼が私をただ一人の女として見てくれるかどうか、子供の私が必死に考えて出した結論。
 ごくりと生唾を飲む音が、(どちらの喉から鳴ったのかはわからないが)聞こえた。

「……お前はどっちだと思うの」
「わからないから聞いてるアル。好きヨ、銀ちゃんのこと。でも私は、それとおんなじくらいパピーもマミーも大事。新八も姉御も定春も…みんなみんな大事ヨ。だからわからなくなるアル。銀ちゃんを好きな気持ちが、ただの『好き』なのか。それとも特別な『愛』なのか。」

 立ち止まって真っ直ぐに銀ちゃんを見上げれば、銀ちゃんは少し困ったように、だけど優しく微笑んで私の頭の上の雪を払って言った。

「………じゃあ、もうちょっと大人になるまで待ってろ。そしたらきっとわかるからよ。」
「銀ちゃんは待っててくれるアルか?私が大人になるの」
「んー…気が向いたらな」

 へらりと笑った銀ちゃんを見て、私は私の中の『愛』を確信した。(あぁ、愛しいってこういう気持ちを言うんだね、マミー。)






大人になるまで待って。
(そしたらもう一度伝えるから。今度は自信を持って、『愛してます』と。)


*

銀魂なら銀神が一番好きな呉羽です。
銀さんに自分を子供としてじゃなく女の子として見てもらいたい神楽と、そんな神楽を子供として好きでいたいのにそうも言ってられない銀さん。
銀さんにとって神楽ちゃんは大切な家族みたいなもんで、だからこそ一番手を出しちゃいけない相手で、でも誰かに取られてしまうのはもっと嫌で。銀さんがロリコンに落ちるのをギリギリの場所で拒んでるのが好きです。すごく萌えます(^∀^)←

20110614

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