reborn
□気に入らない。
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憎まれっ子世に憚るとはこのことか。
「退いて下さい」
「嫌」
「叫びますよ」
「ご自由に」
そう言って私を壁に押し付ける悪魔、もとい雲雀恭弥という人間は、少なくとも私の知る中で一番性格の悪いひねくれ者だ。
気に入らない人間にこれでもかと言う程嫌がらせをし、その困る様を楽しみ嘲笑う。そんな人間、いや悪魔だ。(どうやったらこんなに歪んだ性格に育つんだろう。まったく親の顔が見てみたい。)
今だってこの体勢は「叫ぶならキスして塞ぐぞ」を暗に示している。
私は特に気に入らない人間なのだろう。ツナさん以上に扱いが酷い。つまり彼にとっての一番の標的は私なのだ。(驚くことに!)
「なんでハルなんですか」
「気に入らないからだよ」
「どこが」
「全てが」
腹立たしい。どうしてここまで嫌われなければならないのか。(丸い頭、とかちょっとは失礼なことも言ったけど!だけどそんなことで?)
依然として退くつもりのない彼は私の顎を持ち上げ、ギリギリまで唇を近付けて来る。
「やめて下さい」
「どうして」
「そういうのは冗談ですることじゃありません」
「キミに拒否する権限なんてないよ」
「アナタに私の唇を奪う権限もありません」
必死に睨み付けても悪魔は可笑しそうに口元を歪めるばかりで、私の髪の毛を弄る手は今だ動き続けている。(きっと彼にとって私は玩具なのだろう。反応を楽しむだけの、愉快なガラクタ。)
『気に入らない』というカテゴリーから『どうでもいい』に私はいつ行けるだろうか。私の反応がつまらなければ?(だからってキスされそうなのには黙ってられない)
「…何がしたいんですか」
「何して欲しい?」
「離れて欲しい」
「それはダメ」
「どうして」
「キミの反応面白いから」
気に入らないのに面白いとは、これ如何に?(ああ神様、私は一体いつになったらこの悪魔から解放されるのでしょう!)
気に入らない。
(だからそれは気になるってことでつまりは好きの裏返し?いじめっ子は感情表現が素直に出来ないのです。)
「とりあえず私トイレ行きたいんですけど」
「我慢しなよ」
「悪魔!」
「はは、ありがとう」
*
言葉遊びのような2人の会話が好きです。ほっとくと永遠に話してそう。意外にお喋りな雲雀(笑)
そんな2人が好きだ
20110615