リボーン 短編集

□ストックホルム症候群
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「何を考えてるの?」

白蘭、と名前を呼べば目の前にいる終始笑顔の男は普段と違った妖しげな笑みを浮かべて窓の外を眺めながら呟いた

「もうすぐだよ」
「………」

何が、そう言いたくなるのを堪えてうつ向く

喰えない男だ

腸が煮えくり返りそう

ふとロックされた扉を見つめると不満げに投げ掛けられた言葉

「帰りたい?」
「………」
「いいよ、別に」
「………」

ただ…

そう呟いて振り返り歩み寄る

近寄らないでほしい

私から何もかもを奪い取ったくせに罪悪感など微塵も感じていない素振りで私に近寄らないで

一体、何を考えてるの?

「僕の子を身籠った君を受け入れてくれるとは思えないけど」



本当に…
殺してやりたい



君の恋人は死んだよ、悲しい?(もっと憎んで…もっと僕を嫌いになって……こんな形でしか勝てそうもないから)当たり前でしょう(憎んだところでどうなるというの?彼を忘れさせてはくれないの?一番腹が立つのはこの気持ちに気付かないアンタよ)






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