SAMURAI7 短編集

□Real or Dream?
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「………」

珍しい事もあるもんだ

今目の前で無防備に眠ってる男は本当にあのキュウゾウだろうか

有り得ないと思いつつどこかホッとする自分

キュウゾウも人間なのだと分かると無性に嬉しくなった

歩み寄っても起きる気配はない

キュウゾウの体を跨ぎ両膝をつく

「キュウゾウ…?」

名前を呼んでも返事はない

死んでいるのでは?
心配になって手を伸ばす

頬を撫でてもまるで起きない
鼻と鼻がくっつくほど顔を近付けて呟く

「口を塞いだらアンタ死んじゃうね」

鼻をつまみ口付ける

このままこの男が死んだらどうなるのだろう

村は確実に野伏せりの手によって滅ぼされてしまうだろうな
そうしたらキュウゾウを殺した私が責められるのだろうか…
それは嫌だなあ…

ゆっくりと離すと自嘲気味に微笑んだ

「死んじゃ駄目だよ」
「とんだ矛盾だな」
「ッ!?」

目の前に広がる赤

キュウゾウの上に被い被さるように倒れ込み慌てて起き上がろうにも頭を押さえつけられていては思うようにいかない

鼻が痛いと訴えてみても放す気配はなく
盛大に溜め息を吐くと抵抗をやめた

「怒ったんなら謝るよ」
「違う」
「なら放してよ」
「嫌だ」

ふざけるなよと暴れた所で無意味

キュウゾウはクスリと笑うと呟いた

「可愛いな」
「ッ!」

触れるだけの口付け

真っ赤になるのが自分でもよく分かる
顔が熱い!

キュウゾウを見れば今まで見た事もない笑みを浮かべている
少しだけ染まった頬に気付くと余計に恥ずかしくなった

なんて恥ずかしいのだろう!

もしかしてこれは夢なのではないだろうか

キュウゾウが意地悪いのも顔が熱いのも全部夢だ!

「だとしたら悪夢だわ」
「?」
「いや、こっちの話…」



夢なら醒めて!



(このままじゃ心臓が爆発しそう!)いい加減手え放せ!嫌だ子供か!違う(埒があかない!)






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