クローズ0 短編集

□ごっこ遊び
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ゲーム、これはゲームなの
彼の気紛れで始まって、終わりもまた彼の気紛れで訪れる
ルールは無用!至極簡単なゲーム
恋人ごっこなんて、慣れっこだもの
私は平気、絶対に

「阪東のどこがいいの?」
「………さあ…全部とか?所詮ごっこだし…分かんない」

ルカは小さく納得いかないと呟いて教室から出ていってしまった
残された私は一人教室から空を眺める
星が見えてきた、そろそろ帰ろうかな…、巡回する先生に見つかる前に帰ってしまおう、面倒事はごめんだ
鞄を肩にかけて階段を下りる
非常口と書かれたライトが不気味で少しだけ怖くなった

「………」
「遅えよ」

何でいるんだろう

冷静に考えてみても彼がここにいる理由が思い浮かばない

「逢沢とかいう女が…」
「ああ…ルカね…そっか…」
「……来い」

バイクに腰かけていた阪東の前に立つと優しく抱きしめられる

ドクン、ドクン…

ごっこだし、別に…緊張とか、しないし…

「………」
「………」

ドクン…ドクン…

心臓の音がやけに大きく感じる
止まれ、止まってしまえ!

すると阪東は小さく笑い呟いた

「ごっこでこんな恥ずかしい事できるかよ」
「…え…?」
「気づけよ、バカ」

ああ、そんな事言って…
私に勘違いさせるのね



酷い人
もう私は貴方の傍を離れられない




(離れたいとも思わないけど)






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