ウサビッチ 短編集

□まさか
1ページ/1ページ


「アイツ絶対普通のウサギじゃない!ドラム缶が空き缶に見えたぜ!」
「俺なんてそれ顔面ヒットですからねー」

ボリスは愛銃の手入れをしながら最近出会った脱獄犯の話をするが、相方コプチェフは聞いているのかいないのか双眼鏡で星を見ていた

ホント腹立つ
捕まえようにも生易しい手段じゃ無理だし、殺すつもりでいっても無駄だし
どうすりゃいいんだよ
それにしても今日は星が綺麗だな

漸く落ち着いたのかコプチェフのように星を眺めだす

「わっ!」
「ッ!?…お、お前…」
「……何だ民警か」
「何だって何だ!」

ミサイルでも死なない赤いアイツと一緒に脱獄したらしいそいつは柔らかく微笑んで俺達の元へと近づいてきた

馬鹿なのか?そんな事を思いつつ黙って接近を許す俺もなかなかの馬鹿

コプチェフなんかは双眼鏡片手に星でも見ようと誘い出す始末
駄目だこりゃあ、手に終えねえ

「あれだよね、アンタ達ってマゾだよね」
「ちげーよ!」
「だってキレネンコさんにいっつもボコボコにされてるのに懲りずにまた来るじゃない?マゾでしょ」

どうしてそこで目を輝かせる?

言い様のない焦りがボリスを襲う
目の前には先程よりもキラキラと瞳を輝かせる脱獄犯

「な、何だよ!」
「私さあ、アンタみたいな奴好きなんだよねえ」
「……へ」
「良かったですね、両想いじゃないっスか」
「おめーは黙ってろ!」
「泣かせたい」
「……え」

妖しく覗いた舌先に身震いする

身の危険を感じる!
赤いアイツの時とは比べ物にならないくらい、何かヤバめな気がする!

慌てて離れようとするがしっかりと捕まれた服
何も掴んでいない手はボリスの頬を撫でまわし、そっと呟いた

「あんあんひーひー言わせてみたいな」
「………」



は、放してくださ…



じゃ、また今度!キレネンコさんにこれからはもっとDVで宜しくって伝えておくね伝えないで!っていうかそんな事言ってないから!


(090205)

ボリスたんかわいいよ(;´Д`)'`ァ'`ァ←






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ