Short 1
□君のその美しい喉元に手をかけて
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夜。眠っている君の姿を見て、僕は言いようのないざわつきを感じた。
普段あんなにしっかりしていて、誰よりも大人びて見える君も、眠っている時は無防備な幼い子どものようで。
スースーと寝息を立てる度に上下する喉元に、僕は無意識に手を伸ばした。
理由なんてない。本当にただ少し、魔がさしただけ。
「……っ」
両手を君の喉元に軽く当てるとひくりと動いたけれど、目を覚ます気配はまるでない。
当然だろう。だってアスランは今日の朝仕事が片付くまで三日間不眠不休で、終わったら終わったで僕の相手をしていてくれたんだから。
だから、こんな事で目を覚ます筈はないと、僕は喉元にかけた手に少しだけ力を込めた。
「……っは…」
途端、苦しそうに眉を寄せ息を漏らす君。
無意識なのか、君は僕の腕を掴む。ここまでされても目が覚めないのは普段寝起きのいいアスランには珍しいことだ。
だからこそ僕は歯止めがきかなくなった。この状況で起きない君に都合のいい解釈をして、自身の行動を正当化した。
―――きっとアスランは僕に殺してほしいんだ。
狂った思考回路ではもうまともな事を考える事は叶わなくて、今度は思いっきり力を込めてアスランの首を締め上げた。
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