Short 1
□さよなら大好きな人
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「なにこれ?」
白い縦長の箱に同じく白い花々が敷き詰められて、それに囲まれて目を閉じる彼の人。
普段から白い顔色は蒼白く、口唇は紫色に変色して。その美しい翡翠の瞳は閉じられた瞼の向こうに隠されてしまっている。
「ねぇ、なんなの?カガリ。アスランどうしてこんな所で寝てるの?」
「キラ…ッ」
オーブから緊急回線で連絡が来たのは今日の正午のこと。
何事かと急いで出てみれば、そこには酷く焦燥した様子の双子の姉。
一国の国家元首という立場の彼女がこうしてわざわざ緊急回線を使って連絡を寄越すなんて、“何か”があったのは一目瞭然だった。
『キラ!』
『どうしたのカガリ。何かあったの?』
『お前、今すぐオーブに来い!!』
『は?何で?』
『いいから来い!説明は後だ!ラクスにはもう話がついてるから、とにかく早く!!』
カガリの尋常ではない様子にえもいわれぬざわつきが胸を襲い、僕は用意されていたオーブ行きのシャトルに飛び乗った。
そこにはすでにラクスの姿もあり、彼女までカガリと同じような堅い表情をしていた。いつも穏やかな微笑みを浮かべる彼女らしくない。僕は彼女がそんな表情をする原因が、
カガリがあそこまで「早く」と言っていた理由が掴めかけていた。
ただ、それを認めてしまったら、何かが壊れてしまうような気がして、僕は敢えて目を逸らせていた。
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