Short 1
□約束
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ーーーーーこの季節になると、思い出す。
君と過ごした、幸せな刻。
『アスラーン!こっち、はやくー!!』
『そんなに急がなくても大丈夫だよ?』
『ぼくがはやく行きたいのっ!!』
『しょうがないなあ、キラは……』
ふわりと微笑んだ君の笑顔が大好きで、僕もつられて笑う。
繋がった手は君の方が少し冷たくて、僕は包み込むようにして温めた。
あの頃の僕らの場所は決まっていつも同じ。
ピンク色の美しい花を咲かせる大樹の下で、はらはらと散る花弁をいつまでも眺めていた。
そして全て散る頃になると、決まって同じ“約束”をする。
『また来年も、一緒に見ような』
『うんっ!!』
その“約束”をする度に僕がどれだけ歓喜していたか、君は知らないでしょう?
今ではそれも叶わなくなってしまったけれど、君との“約束”は今でも僕の光だよ。
ーーーねぇ、アスラン。君は覚えてるかな……?
“約束”
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