短編

□JUNE BRIDE T
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ライスシャワーも終わり、いよいよ式も大詰め。

最後は花嫁からのブーケトス。

紗菜はブーケを持って台の上に立ち、俺はその横でその姿を見守っている。

そして台の下にはブーケを我が物とせんと群がる独身の女達。


……つうか皆、顔がマジだな……。


「それじゃぁ、いくよー?」


そんなことを考えていると紗菜が後ろを向き、せーの……とブーケを思い切り投げた。


大きく手を伸ばし、ブーケを取ろうとする女達の頭上をブーケが大きな放物線を描き……、



――ポスッ



「……aan?」


一番後ろにいた独眼竜の腕の中にブーケが綺麗に収まった。

一瞬にして凍りつく会場一同。

そんな皆を余所に、


「HA!!次に結婚するのは俺だってことだな!!」


と呑気なことを言う独眼竜。


すると台の上にいた女達が誰からともなく一斉に独眼竜に飛び掛かった。


「アンタ、何取ってんのよ!!」

「いや……だって……――ってぇ!!」

「マジありえないわ!!」

「ちょっ……やめ……っ!!」


揉みくちゃにされている独眼竜を苦笑いを浮かべながら見つめる俺。

そんな俺に紗菜はにっこりと笑って言った。


「チカちゃん。私、今すっごく幸せだよ」


急な紗菜の言葉に目を丸くしながらも次の瞬間には俺もにっこりと笑いかけて静かに言った。


「あぁ、俺もだ」



HAPPY WEDDING



静かな海にチャペルの鐘が鳴り響く。

きっと俺達の未来への船出はどこまでもどこまでも順調だろう……。



END



―おまけ―

「まぁ、どたばたしてたけどいい結婚式だったよな」

「……………」

「どうした?紗菜」

「チカちゃん……」

「ん……?」

「き、気持ち悪い……」

「はぁ!?おまっ……今頃!?」

「も……むり……限界……っ!!」

「あ、おい!!」


花嫁逃亡につき、結婚式はお開き、お開き……。


今度こそEND☆
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