短編
□分かったこと
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私は紗菜。
誰もが羨む容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備の完璧な女………だったのに……、
「オッス!紗菜さん!おはようございます!!」
「オッス!姐さん!今日もお綺麗ですね!!」
「オッス!姐さん!アニキが今日もお部屋でお待ちッス!!」
校門の前にズラリと一列に並ぶ不良たち。
彼らが私を姐さんと呼ぶようになってから私の生活は一変してしまった。
なぜ彼らが私を姐さんと呼ぶかと言うと、全ては一枚のラブレターを受け取ったことから始まった。
ラブレターなんて私は腐るほど貰っているけれど目についた一枚のラブレターに返事をしようと指摘された場所へ行ってみると……、
なんとラブレターの相手はこの学園の番長、長曾我部元親だったわけで……。
それからあんなコトをされた挙げ句、告白されて私達は付き合うことになった。
………のだけれど………。
「あぁもう!!何で私……こんな人と付き合ってんだろ……」
元親の待つ旧校舎へ向かい校長室のドアを開けるといつものようにソファーに座っている元親の姿があった。
私はその横にいつものように座る。これももう慣れたこと……。
だけど……、
その後会話が何もない!!
あんなにあの時雄弁だった番長さんは何一つ話さない。
それどころか、私の方を見ないで窓の外ばかり見ている。
たまりかねた私は元親に話し掛けることにした。