短編
□コンプレックス・ラバーズ
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コンプレックスの1つくらい、大体の人は持っていると思う。……あ、持っていませんか?私は持っています。
何か。それは、くるくるふわふわうねうねの、度が過ぎた癖っ毛。
天パ、では断じてありません。度が過ぎた癖っ毛です。
……どっちでも同じですか、そうですね、そうしておきましょう。
まぁ、とにかく。私はそんな髪がコンプレックスなんです、嫌いなんです。
見た目可愛くないし、くるくると鬱陶しいし、それに……、
「おい、藍染」
「あ……片倉先生」
「いつも言うが、お前本当にパーマかけていないのか?」
そう、これ。担任で生徒指導で……私の好きな人である片倉先生。この人からの疑いの目。
うちの学校の校則はなかなか厳しい。アクセサリー、化粧、パーマ等々禁止。
他に癖っ毛の人とか、本当にパーマかけている人とかいるはずなのに、片倉先生は私ばかりに疑いの目をかけてくる。好きな人に話しかけられるのは嬉しい。だけど……そういうことで話しかけられるのは嬉しくない。
「だから、かけてません。癖っ毛なんですって!」
ムッとして訴える。
「そうだよな、すまない。……確かに、パーマをかけているならこんなに髪は綺麗にならないな」
そう言って片倉先生は私の髪をすくように撫でてきた……って、え?これって褒められてる?髪、撫でられてる!?嘘……!嬉しいけど、恥ずかしい!
「そ、そうですよ!で、では私席に戻るんで!」
先生の手を退けて慌てて席に着く。ど、どうしよう……疑われたけど、褒められた……なんか複雑……。褒められたけど、やっぱりコンプレックスには代わりない。
何よりも、心臓がドキドキしてうるさい。