短編
□分身どっきり
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「佐助!美弥!この場に集いし者どもに武田の強さを見せつけてやるぞ!」
「全く、大将ったら相も変わらず暑っ苦しいったらないよ……」
「……だよねぇ。もっとこう……独眼竜みたいに冷静にならないのかなぁ」
とある戦場。うぉぉと燃える幸村と、やれやれな佐助と美弥。3人の気温差はなかなかのもの。
「何をしておる!真っ正面から突撃するぞ!」
「はいはい……」
「突撃ってより奇襲派なんだけどな」
幸村や他の武将と共に佐助と美弥も敵陣地へ向かって進んだ。
「じゃ、私はそっち側やっとくね」
「うむ!よろしく頼む!無事に戻って来るのだぞ」
「無事にって……大袈裟だなぁ。ま、任せてよ殿」
そして美弥は、一人で離れた所で戦っていた。
***
「っと……、よっ、ほっ。……なかなかしぶとい奴等だねぇ」
早く向こうに戻らないと殿や佐助に色々言われる。そう思いながら苦無を投げていたその時。ほんの一瞬のスキをつかれた。ハッと気づいた時には既に遅かった。
「………!!」
***
「幸村様、佐助様あぁぁっ!!」
「どうした!?」
「何事だ!?」
伝達兵が慌てて駆け寄ってきた。すると、思わぬことを言った。
「美弥様が……美弥様が……っ」
「美弥がどうしたのだ!?」
「美弥様が……、討たれました……っ!!」
「なん、だって……?」
その場が一瞬凍った。
「……美弥の所へ……案内してくれ」
「大将!!」
「良いから行くぞ、佐助」
3人は美弥の元へ駆けて行った。