Phantom road
□episode 28
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『雨…か、』
ここはルナの部屋。窓の外に目を向け切なげな表情をするルナを見てブラッドは少しばかり悲しそうな顔をしていた。
――トントンッ
『…?』
外出を止められて数日、ルナの部屋に訪れる人間は以前よりも増えた。そのため誰かが訪ねてくるのはおかしくなかった。
『だれ…?』
その場から動かずルナはたずねる。
「中央庁の者です」
『中央庁…?』
ルナは若干警戒しつつも扉を開けた。そこには自分のよく知る仮面とマントを付けた者“鴉”。
「共に来て頂こう」
『どういうこと…?』
「あなたに拒否権はありません」
『!』
「何を…!!」
鴉はルナの手を拘束した。それを見て怒ったブラッドをルナは止めた。ブラッドはその止めた意味がわかったのか怒りを抑えた。
「大人しくしていただければ危害は加えません。仮にも貴方は大切な使徒様なのだから」
『…行ってくる、ブラッド』
「…気を付けてね」
『うん(苦笑』
ブラッドは鴉に連れられていくルナを見えなくなるまで見送った。
「帰って…くるよな…、」
ブラッドはひとりそう呟いた。
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