Phantom road
□episode 09
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『くそー…酔ったァ』
「何か酔っぱらいみたいな酔い方ね…」
珍しく乗り物酔いをしていたルナはリナリーに連れられ停車した駅内にいた。
「お弁当買ってくるからここで待って」
『んー…』
リナリーはルナを置いて少し離れたところに居る小さなお弁当屋さんへ。
そんなリナリーの元にやって来たアレン。
「リナリー」
「…」
「その…そういえば…あれから一度もちゃんと話してないから、」
あれからというのは恐らく巻き戻しの街でロードと戦った時の話だろう。
「すいませんでした」
アレンはリナリーに向かって深く頭を下げた。そんなアレンの頭にリナリーは持っていた晩ご飯の入った袋を乗せた。
「顔上げちゃダメ」
「は?あ、はい」
「まだ許さないんだから」
「……」
「アレンくんは勝手だよ。自分にしかアクマの魂見えないからって…全部背負い込んで、自分ひとり犠牲にして戦ってる。
私達何のために仲間なの?
バカにしないでよ…どうして一緒に戦ってくれないの。嫌いよ、アレンくんの左目なんか」
そう言うとリナリーは涙を流しながら座り込んだ。そんなリナリーを見てアレンは眉を下げた。
「ごめん…、リナリー。助けてくれてありがとう」
「…何度だって助けてやるんだから!」
アレンの頭に乗っていた荷物を取るとリナリーは汽車の中に戻って行った。
『青春だね〜…少年』
「!何してるんですか?」
『見ての通り乗り物酔い…ッ!待って、吐きそう…』
「汚いから近付かないでくださいね」
『それが仲間に対する言葉か』
「貴方に対する同情の言葉です」
『君の言葉には同情の“ど”の字も見えないよ』
そんなふざけた会話をしていると汽車の出発音。二人は急いでそれに乗ろうとしたのだが何者かに手を掴まれた。
「あなた方の胸にあるそれは十字架ですか?」
『「はい…?」』
汽車は二人を置いて出発した。
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