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□cat -addict-
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リクエストの通り『cat』のその後の話しになります。
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カリカリと筆が走る音だけが静寂に満ちた部屋に響く。
アッシュは執務室で仕事をしていた。
この頃仕事が溜まって溜まって仕方がない。
それというのも自分があの可愛い『猫』に首ったけになってしまったのが要因にあるのだが・・・
いくらなんでもそろそろ真剣に仕事を片付けなければ済まなくなったのでこうやって一人で仕事をしている次第だ。
アッシュとしても愛しいあの仔猫と一瞬でも離れるのは辛いのだ。
本当はずっと一緒にいたい。
あの柔らかな髪に触れていたい。
あの宝石のようにキラキラと光る翡翠の瞳を何時までも眺めていたい。
自分でもかなりキているとは思うが、どうしようもない。
とにかく早くあの仔猫に会いたい、触れたい、見つめていたい。
そのためにも目の前にうず高く積まれた書類の山をどうにかして消化しなければいけない。
そう思い、頭を切り替えて一刻も早く朱色の仔猫に会う為アッシュはまた筆を握り直した。
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しばらくして、書類も後少しで片付くという時。
執務室の扉の外が何やら騒がしくなった。
メイド達が何か騒いでいる。
「ルーク様!」
「お待ち下さい!ルーク様!」
「今、アッシュ様はお仕事中で・・・」
「やあああああぁぁぁ!!」
バタ−ンッ!!
聞き慣れた声がして勢いよく開かれた扉にアッシユの目が向く。
その視界に何やら見慣れた朱が掠めたと思うと・・・
ポスン。
腹に小さな衝撃。
「ルーク様!!」
メイドが上げた声にアッシュは自分の腹のあたりを見た。
そこにはアッシュにしがみつくルークの姿。
ぎゅうううぅぅっとアッシュの服にシワが寄るのも気にせず力いっぱい握りしめてくる。
まるで絶対離さないとでもいうように。
いじらしい仔猫の姿にアッシュは柄にもなくきゅんと胸が高鳴るのを感じたが、顔には出さずルークに声をかけた。
「ルーク・・・」
「ぃや!」
諭す言葉を掛ける前に否定された。
「ルーク・・・今は仕事中だから・・・」
「ぃやぃやいやぁ!!」
首を振っていやいやとするルークに困ったアッシュを見兼ねて一人のメイドが二人に近づく。
「ルーク様、あまり我が儘を申しますとアッシュ様も困ってしまいますよ?」
そう言いルークの肩に手を沿える。
「いやぁ!!」
パシン!
ルークがぶわわっと尻尾の毛を逆立てながらメイドの手を振り払い、一層強くアッシュにしがみつく。
「ルーク・・・いい子だから・・・」
アッシュが慰めるようにルークの頭に手を置くとルークが恐る恐る顔を上げる。
「ぁしゅ、るーくじゃま?」
瞳を潤ませて尋ねてくるルークの後ろには何かキラキラパヤパヤしたものが見える。
アッシュはルークの泣き顔には弱い。
どうしようもなく弱い。
・・・・・・・・弱いのだ。