小の書

□残酷という名の運命
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納得いかない。

金髪の男の表情がそう語っている。

対して、黒髪の男はそんな男の表情に苦笑していた。


「・・・どうして?」

「何度も同じこと聞かないで?これは仕方のないことなんだよ、コロちゃん」


コロちゃんと呼ばれた男、クリストファー・コロンブスは怒ったような顔でそっぽを向いた。


「それが、世界の判断なの?閻魔くん」

「・・・」


なんと答えてよいのか解らないらしい。

閻魔と呼ばれた男は目を閉じて、手を額に当てた。

しかし、すぐに目を開けて、はっきりと言い放った。


「そうだね」

「・・・これが、世界の本性?」


同じような問いに閻魔はまた困って苦笑した。

コロンブスは依然として怒ったような顔を崩さない。

閻魔から告げられた事実が、彼の怒りに火をつけた結果となり、いまだ腹を立てているからだ。


「・・・そんな本性なら、俺は世界を許さない」

「コロちゃん、仕方ないの。ね?解って?」

「無理に決まってるだろ!」


太子が、消えた。

行方不明、とかではなく、魂が消されたのだ。

世界によって。


「閻魔くん・・・どうして、何もしなかったの」

「・・・」

「君は・・・!」

「俺は、神なんかじゃない」


コロンブスの言葉を閻魔が遮り、否定した。

吐き捨てられた言葉に息が詰まる。


「・・・神だったとしても、世界の運命が相手じゃどうにも出来ない」

「そんなんじゃ、太子くんが可哀想だよ!」


コロンブスの叫びが、閻魔の胸を締め付ける。

そんなこと、閻魔にだって解っている。
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