紅色ノ旋律

□第121話〜第150話
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第121話 永久の眠りへの解放


王子の悲痛な声が部屋にこだまする。
それでも怪物に届く事は無く、戦いの音は止まない。

ある程度回復の終えたリジアがいつの間にか王子の隣に来ていた。
一言二言囁くと彼は怪物の繰り出す攻撃を避けながら、倒されたユニの元へ走る。
それを王子は目を瞠り見つめた。
無意識なのか棒を握る強さが増す。

「そうだ、僕が終わらせるんだ」

僕が、僕が。
そう何度も呟き、怪物と化した己の母親を見据える。
後ろではなんとか立ち上がったユニとジーク、そしてリジアの三人で沸いて出る兵、そして怪物を迎え撃っていた。
ティアラは更にその後ろで控え、仲間に傷が付けばその回復を賢明にこなしている。
そして今目の前にいるのは。

「国王、渡しては頂けませんか」
「…何をだね」
「あれを鎮める何かを」

今まで何年とあれを隠していたのだ。
幾度となく暴れる事だってあっただろう。
それを城下にも自分にも悟られず隠すなど到底不可能だ。
ならば高い確率であれを鎮める何かが存在するはず。
そう王子は考えていた。

「それを手にしどうすると言うのだ」
「鎮め、帰るべき所へ還って頂きます」
「殺すと?」
「違います、解放するんだ」


―――そう、僕が。


作者コメ
遅くなってごめんなさい!!
本当は2日で書くつもりだったんですが…気を付けます。
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