紅色ノ旋律

□第241話〜第270話
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第243話 遺跡と嘘


「ジ、ジークなのか…?」

ステンドグラスの下、恐らく…いや百パーセントの確率でジークであろうそれを五人は見つめ、瞠目する。
問い掛けつつも、確信を持った声色で呟くリジアに続いてユニも額に冷や汗を滲ませながら口を開いた。

「ジークさん!」
「来るな!!それ以上近寄れば貴様等とて容赦はしないぞ!!」
「!」

駆け寄ろうとするユニを制止するジークの突き刺すような言葉に一同は眉間に皺を刻んだ。
何かは分からないが、恐らくジークは一人でとても重大で深刻な何かを抱え込もうとしている。自分達を巻き込まないようにと、必死で隠している。

「なぁジーク、俺はお前とはいつも喧嘩ばっかりだけどさ、そういうのも仲間みたいでなんとなく嬉しかった」

リジアの、静かな声が教会に響き渡る。

「初めて会った時から、お前は本当の事を隠してたよな」

ジークとの初めての出逢い、それはリジアとユニの意志に大きく影響を与えた、あの遺跡。
ジークは行き止まりの道を教えて二人を迷わせたりと、兎に角口を割らない男だった。

「あの時、行き止まりの道を教えたのは俺達を死なせない為だったんだろ。光玉達の存在を知ってたから」

あの戦いで、リジアとユニは何度死にそうになっただろう。光玉に至ってはまともに戦っていたら二人は確実に死んでいた。

「でも、あの時俺達は死ななかった。俺達は今まで何度だって乗り越えてきたじゃないか」

そこまで言ったところでジークは気付く、大事なことに…
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