短編

□電話と忠告
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「あ、サドーっ!ちょっといいアルか??」

「っっ!!な、なんでィ」

「昨日もらった世界史のプリントをちょっと貸してほしいアル。無くしたからコピーしたいネ。」



どうして俺に頼むんでィ?

他にも人はたくさんいるのに…


まさかチャイナも…俺の事…





「あら神楽ちゃん、プリントなら私のを貸してあげるわよ?」

「え、いいアルか?じゃあ姉御の貸してもらうネ」


あっさりとしたチャイナの変わり様に高ぶった期待は一気に急降下する。

ガラスのハートはズタボロだ。


「…悪いナサド。ありがと」





前言撤回。



もうおわかり頂けたであろう、俺はこのチャイナに好意を寄せているのだ。

しかしいくらアプローチしたってチャイナは気づかない。

鈍感な所も可愛いけどもっとこう…意識してほしい。じゃないとガラスのハートはいつ粉々に砕けちるかわかったものじゃない。


「はぁ…」

本日何回目かのため息をもらした時だった。
♪〜♪〜♪

いきなり電話が鳴ったのだ。



こんな休み時間に…姉上だろうか。


「はい、もしもしっ…」


『…ーー』



…誰??


「も、もしもし?」


『……ーー』




イタ電だろうか、こんな時間に腹が立つな…


イラッときて電話を切ろうとした時だった。

『放課後…校舎裏で』


ブチッ…ツーツー




相手は一方的に要件を言い、一方的に電話を切った。


「?…告白かィ」

「何の電話ネ?」

「ぬおぉぉっ!!?」



チャ、チャイナぁ!?


「何幽霊見たような顔してるネ」

「い、いやだって…ち…近い…」


チャイナは俺の机に頬杖をつき顔を俺の真正面に向けているのだ。

「失礼な奴アルな、全く」





チャイナはぷい、と怒って行ってしまった。






****



放課後ーー


「…つーかなんで来てんでィ俺」


あの電話の指示通り放課後校舎裏に来てみたものの、誰もいない。

そもそもあの電話の声…どこか低かった。

告白というよりは決闘の申し込み…?



「あ、来てる来てる」



「……?」



声のした方を向くと見覚えのある髪をみつあみにした、長ランの男が立っていた。


「君が沖田総悟くんかい?俺は神威…電話したのはこの俺だよ」

「は…」

「君に忠告しとかなきゃと思ってさ」







「っ!!?」


なんと神威という奴はいきなり俺のすぐ横の壁に拳を叩きつけたのだ。

パラパラと破壊部から破片が落ちてくる。

俺はいきなりの事とその威力に足がすくんだ。


「な…な…?」


「…君ずいぶん調子乗ってるよね?妹と同じ空気吸ってるだけで腹立つのにさ…」

「い、妹?」

「そうだよ。君の神楽に対する態度はなんだい?好き丸だしにしちゃってさ、かなりムカつくんだよね」

「ちょ…その妹て…まさか」



チャイナか!!

そういえばそっくりだ。

ではなんだ、俺はお兄様に絞られているわけか…



「か、神威いぃぃぃ!!!」



「神楽!」「チャイナ!」




俺が叫んだ瞬間…チャイナは神威に向かって飛び蹴りをかました。

しかし神威はいとも簡単に蹴りを避ける。

コイツ…ただ者じゃねェ


「お前ッサドに何するつもりだったアルか!?」

「え、ただ忠告にきただけだよ」

「何が忠告ネ!!気持ち悪い電話かけやがって!」


ん?待てよ…今なんで


「まぁいいや…じゃあ沖田くん、忠告は心得た方がいいよ」


そう言い残し、神威は去っていった。


「ふー…ったくあの馬鹿兄貴…」


「…なぁチャイナ」

「あ?」

「もしかして電話…聞いてたんですかィ」





ボッという表現が正しいだろう、チャイナは顔を真っ赤にした。


「き、聞き耳たててたわけじゃないアル!!ただ聞こえただけネ!け決して告白かどうか聞いてたわけじゃ…あああっ!!」



やべ…これって脈ありじゃねーか!?



「チャイナぁぁぁ!」

「うわっいきなり何するネ!?」


「俺ァ負けねーでさァ!あんな兄貴ぶっ潰してやりまさァ」


「……あんまり兄ちゃんを悪く言うなヨ」






チャイナのどす黒いオーラに少しどきっとしたものの…

いつか絶対にモノにしてやりまさァ!!




END




後書き


ありがちな話でごめんなさい…

二人とも神楽ちゃん大好き!
リク下さったなぎ様!温かい言葉をありがとうございました(^∇^)



 

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