短編

□小さいあの子は誰のもの?
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「なんで霧野先輩が…幼児化してるんですか!!」


サッカー部の輪の中心にいる可愛らしい女の子…もとい男の子。

「…霧野可愛い」

「おい神童、そんな事言ってる場合じゃねーだろ!」


神童の呟きに倉間は勢いよく突っ込んだ。

そうこの可愛い子供は我等が雷門中のDF、霧野蘭丸である。

しかし今の見た目はどう見ても幼稚園児…

最初に霧野を見つけた狩屋はさっきからおどおどしている。


「なんで霧野先輩が小さくなったの?」

「…部室に戻ったら幼児化してたんだよ」

狩屋は溜め息をつく。

「ここどこ…?」


「っ!霧野!!」


小霧野は部員達をきっと睨む。


「…俺、たっくんとサッカーやってたんだ。そしたらいきなりここにいて…お兄さん達だれ?」

さすが霧野、とでもいうべきか。

冷静に周りを判断する所は変わらないらしい。



「ちゅーか霧野すげー可愛いくね?」

「さらに女っぽくなってますしね」

「女って言うな!!」



バコッ!

「ぐふっ…」



速水は後ろへぶっ倒れてしまった。

渾身の一撃を与えたのは小霧野だ。



「おい速水、浜野!あんまり霧野を苛めるな」

「いや何気に霧野抱えてんじゃねーよ神童!!」




神童はなんと小霧野の背中に手を回し頬を赤らめている…


「…お兄さん、たっくんと同じ匂いがする…?」

なんと小霧野は神童の髪に顔を埋めた。

「き…霧野…!」




「ハンターズネット!!」




「!?」


突然小霧野に赤い網がかかった。

「な、何!?」


「キャプテ〜ン、霧野先輩がこんな姿だからって抜け駆けは許しません!」

網の保持者は狩屋だった。


「ぬ、抜け駆けって…!俺はそんなつもりは全く」

「嘘をつかないで下さい!じゃあ先輩の背中に回してる手はなんですかっ!!」


神童はいや、これは…なんて頬を真っ赤に染めた。


「やっぱり下心ありありじゃないですか!!皆さーんキャプテンは変態ロリコンでーす」

「な!!じゃあお前はどうなんだ狩屋!ちゃっかり霧野を捕獲してるじゃないか!」


「は…!ら、蘭丸ちゃんは俺といたいんですよ!キャプテンといて可哀想だったから助けただけです」

「ら…蘭丸ちゃんだと!?その呼び名は幼馴染みの特権だ!いけ奏者マエストロォォォ!!」







****



「霧野〜次は何して遊ぶんだー?」

「んーと…オセロ!」

「はははオセロなんてできるんですか?」

「馬鹿にするな!チェスだってできるんだぞ!」

「すごいな霧野ー」



白熱する戦いの傍らでほんわかした空気が流れていた。


「ちゅーかアイツらまだやってんの」

「ほっとけ…あ、四隅取られた」




END



*おまけ*

その頃霧野は…


「らんちゃん?」

「…どーなってんだこれ」

公園で小神童とぼーぜんとしていましたとさ



 
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