短編

□許しあうこと3
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「じゃあ…また来るアル」

神楽は顔を俯かせて言った。


「うん、元気でやるんだヨ」

「……ん」



看守は俺を無理矢理立たせる。

そして神楽との別れを惜しむ暇さえ与える事なく部屋から連れ出した。



「…はぁ」



物静かな廊下をカツカツと歩く。足音が反響して少し耳障りだった。

その耳障りな音を聞きながら俺はさっきの神楽の顔を思い出す。

絶対に痩せたよな。

本来味わう事のない苦痛を神楽に与えているのはこの俺の存在なんだろう。

「犯罪者の妹」



そんなレッテルを貼られた神楽がどんな生活を強いたぎられたのか、
想像するのは安易だった。

だけど神楽は俺に会いにきてくれる。

きっと邪魔で邪魔で仕方がない兄貴なのに、ああして心配をしてくれる。


ずっと神楽を苦しめてきた俺を兄と呼んでくれる神楽。



俺はいつだってそんなお前の優しさに甘えてしまっていた。






 
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